腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

12月は腕時計の国(ブラッドベリ風に言えば)

 米作家、レイ・ブラッドベリ著「10月はたそがれの国」。ほの薄暗い不気味さを感じるストーリーが多いものの読後感はさらっと清々しく、小説世界に浸る楽しみが詰まっている名作短編集です。

初版の書影

 エドガー アラン ポー辺りがお好きで、未読の方には是非読んでもらいたいです。読むたびに異なる印象を与えてくれる不思議な作品なので、一冊で何度も楽しめるお得な一冊だと思います。中学から「創元オタク」の私が言うんだもん。間違いなし(*´∀`)

※気になる方はどうぞ♫

 

12月は腕時計の国(ブラッドベリ風に言えば)

 いよいよ師走…「12月」が来ます。いやぁ…マジで震えるんですが…どうしましょう??(;´Д`)

 リード文のブラッドベリは、表題を引っ張り出すために強引に使っただけですが…ほら!!12月って、アホみたいに忙しくなるじゃないですか??でもって、コロナの新規感染者も増えつつあるこの状況。ちょっとその辺で忘年会でもやって「パーッと」なんて…できそうもありませんよね??

 となると、12月の忙しさのはけ口…いや、この1年の「自分自身の頑張り」をどう労えば良いのか…考えちゃいますよね??

 ってなワケで、腕時計好きなら行っちゃうでしょ??例え実際には諸般の事情で自重したとしても「今年最後に行ったれや!!」とか考えるじゃないですか??

 この先、とんでもない山が…オリンポス級の案件があるわけですよ。そんな強烈で過酷な山を登るならば、それなりの装備が必要なのです。特に「左腕に」

 東京本社に着任以降、凹まされっぱなしの私がそれでも何とか凌いでこれたのは、間違いなく日々のバディー「腕時計たち」のお陰なのですが、特に12月になると、目の前の暗黒を晴らしたい一心で、それなりの腕時計が欲しくなってしまいます。

 

12月に購入した腕時計

 そんなこんなで、12月に手に入れた腕時計には特別な感慨を抱かせるものが多くあります。最初から「お助けアイテム」或いは「精神安定剤」的な役割を担わされているわけですからね。見るたびに「そう言えば、あの企画はヤバかったなぁ~」とか「どうやって入稿したのか思い出せん!!」とか、辛い記憶ばかりが蘇ってくるのです(;´Д`)

 2020年10月の着任早々で苦痛しかなかった年末、12月の休みを全て潰して在宅業務に明け暮れる中、自らの正気を保つために買ったのがコチラ…

M79 オートマチック(TW2U29500)

M79 オートマチック(TW2U29500)

 大人気だったタイメックス「Q」の自動巻きバージョン「M79」でございます。転勤時の経済的ダメージから抜けきっていない時期でしたから、高い腕時計なんてとても買えないわけです。でも何かしら手元に欲しい!!ぶっちゃけ気分だけは上げたい!!…ということで購入した「M79」です。買って暫くは、家にいる間ずっと着用していました。「これ買っちゃったし頑張ろう!!」ってな、情けない気持ちでしたねぇ(;´∀`)

 

 

ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ(PAM00723)

ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ(PAM00723)

 で、その次の年2021年の12月(正確には11月末でしたっけ??)に手に入れたのは通算3本目のパネライ「ルミノール1950」でした。師走のテンションを爆アゲするアイテムとして、秋口から試行錯誤を繰り返して選んだのが「デカアツ本家」。しかもブレスモデルという超重量機。実は意外なほど着け心地に優れ、主に休日のお出かけにお伴することの多い時計ですが…これもやっぱり、じーっと見つめていると「あの企画も揉めたなぁ~」とか「間に合ったことが奇跡」みたいな思い出が蘇ります。イテテ…胃が…(;´Д`)

 この年買った腕時計はたったの「5本」でしたが、結構「濃いめのキャラ」が多かったので、この数で収まったのかもしれません。もしも腕時計趣味の初手から、エグみの強いブランドばかりを集めていたら…どうなっていたでしょうねぇ(ドラクールみたいな??)

 えー、これら2年の経験を総合しますと、12月を乗り越えるためには何をおいても「腕時計が必要である」ことが解りました。皆さんもきっと同じですよね??

 

上がりの「スポーツウォッチ」を探せ!!

 上がれるものなら上がりたい「腕時計趣味」。実際には一向にゴール地点が見えないわけですが…例えばです。ジャンル別に「上がり」を決めてそれを「終のナニナニ」にすることは可能だと思います。今年の「12月」はその辺りをテーマに暗躍したいと思います(*´∀`)

 ですが…私個人のコレクション事情として「同一ブランドで2本以上は買わない(但し日本製は除く)」というテーマがございます。とにかく、これ以上はむやみに腕時計を増やしたくないのです(維持するだけでもエラい出費ですからねぇ…)

 現状はグダグダなので全く守れていませんが…この先買うなら「今現在、手元にないブランド」或いは「同じブランドでダブったら片方は売っ払う」という約束事だけは守りたいのです。

 ボンヤリとですが、今の私にはそんな役割に相応しいターゲットのイメージがございます。それら全てが「スウォッチ グループ傘下」という奇遇。

 「ならば!!」と私が向かったのは、日本におけるスウォッチ グループの「本丸」。銀座に名高い「ニコラス・G・ハイエックセンター」でございます。久方ぶりにやって参りました。外観写真はもう良いですよね??

 おお!?並んでる並んでる(笑)やっぱ「アレ」目当ての皆さんですかね??寒いから風邪引かないで下さいよ~(;´∀`)

 

 

 

ハイエックセンターで分不相応なブランドをハシゴする

 緊張して「ニコラス・G・ハイエックセンター」一階のエントランスでキョロキョロする私(笑)

 何度来ても「お前みたいな平民の来る場所じゃない。ゲラウッッ!!」みたいな圧を勝手に感じてしまいます。あ、実際は全然ジェントルな空間ですのでご安心を(笑)

 スタッフのお姉さんに導かれ、おずおずと4階へ。あー、もっとパリッとした服装で来れば良かったなぁ…(;´Д`)

ハイエックセンター4階「ブランパン」で「フィフティ ファゾムス」を拝む

専用エレベーターに乗って向かう「ブランパン・ブティック」

 「上がりのスポーツウォッチ」を考えたとき、最初に脳裏に浮かんだのが「フィフティ ファゾムス」でした。「原初のダイバーズ」として後の世に大きな影響を与えたスポーツアイコン。「これを買ったら、他のダイバーズを買えなくなる」…そんな予感すら感じた私はこれまで、できるだけ「フィフティ ファゾムス」の動向を見ないようにしてきました。ちなみに「フィフティ ファゾムス」とは「水深50尋(約92メートル)」を意味するそうです。

 ですが「上がりのダイバーズ」をイメージするなら、私にとってはコレなのです。サブマリーナーでも無ければシーマスターでもない。それは「フィフティ ファゾムス」なのです。

 スタッフの男性(インテリ系イケメンさん)にコチラのお財布事情などを伝え、見せていただくことにしました。それにしてもさすがは「本丸」。こんなに多くのモデルを一度の訪問で見れるなんて!!

 あ、そうだ…「ついでにバチスカーフもお願いします」と頼んだ私。「本家ファゾムス」と一緒に「バチスカ」見るのもアレかなぁ~と思いましたが、こんな機会は滅多にありません。何事も実体験が大切ですからね!!(*´∀`)

 

 

 

「バチスカーフ」のレベルの高さに驚愕する(50541210G52A)

 商談スペースでトレイの上に出された「フィフティ ファゾムス」たち。瞬間、私を射抜いたのは「バチスカーフ」の方でした。文字通り一瞬で恋に落ちた私(笑)

Fifty Fathoms
BATHYSCAPHE QUANTIÈME COMPLET PHASES DE LUNE(50541210G52A)

 ぶっちゃけますと…「バチスカーフ シリーズ」に関しては、ブランパンらしさを余り感じなかったんです。メディアで見る写真の印象はまるで日本製のダイバーズのようでしたし、ブランパンが出すまでもない、或いは「フィフティ ファゾムスを名乗るのは如何なものか??」くらいに感じていました。1956年の初代から続く名跡であっても、ブランパンさんのダイバーズと言えば「本家の方」という印象は変わりません。

 ぶっちゃけ、メディアが発信する写真の「バチスカーフ」に見て取れる、シンプルなケースデザインと平板なベゼルからは、ブランパンという歴史的ブランドが醸す色気を感じることはできませんでした。ですが…やはり実物は違います。手のひらで優しく包んだ瞬間に理解できたのです。「これは只者じゃない!!」と。

 見せていただいたのはフィフティ ファゾムス バチスカーフの「コンプリート カレンダー」でした。チタン製のケースは幅43ミリ。数字的には大きな時計ですが、コンプリートカレンダーにムーンフェイズまで詰め込まれたダイヤルに、間延び感は一切ありません。ヤバいコレ!!吸い込まれそう!!いつまでも見ていられます(笑)

 

Fifty Fathoms
BATHYSCAPHE QUANTIÈME COMPLET PHASES DE LUNE(50541210G52A)

 突出して何が凄いとか…そういう問題じゃないんです。全部ひっくるめて、総合点が異様に高い。きっと本来、私如きの物差しで測るべきではない時計なのでしょう。正直、頭の中には「エクセレント!!」「マーベラス!!」という…何故か称賛の英単語しか浮かんできませんでした(笑)

 そして、さらに凄いと思ったのは、これだけマーベラスな時計でありながら、同時に親しみやすさも残しているところでしょうか。私なんかが使っても許される…そんなメッセージが感じられたのです。そのフレンドリーさはとても「200万超えの時計」とは思えません。なんだろう…極たまに美人女優が一般男性と一緒になるという一種の「奇跡」が起きたりしますが…そんな感じかもしれません(笑)

 特に「ダイアル」は凄まじい美しさでした。美しくなればなるほど、時計は儚く繊細に見えるものですが、この絶妙な力強さと美のバランスは何なのでしょう。このモデルを見たことで、私の中の「腕時計勢力図」が大幅に書き換えられたことは間違いありません。

 

Fifty Fathoms
BATHYSCAPHE QUANTIÈME COMPLET PHASES DE LUNE(50541210G52A)

 腕に乗せた瞬間、確かに伝わる「人懐っこさ」。可愛らしくて格好良く、スポーティーでありながらラグジュアリー…コンプリケーション仕様のダイバーズだからこそかもしれませんが、このとてつもない満腹感があるなら、人生の完走までお付き合いしてもらう「上がりのダイバーズ」にも相応しいかもしれません。う~ん…コイツはたまらんなぁ~(*´Д`)

 

 

 

フィフティ ファゾムスの「基本形」に酔いしれる(5015 1130 52A)

 ハイエックセンターのブランパンブティックはさすがの品揃えでしたが、中でも特に私が狙うは、ステンレススチール製の45ミリ、3針で4時と5時の間にデイトが配置された「フィフティ ファゾムス」の基本形でございます。やっぱりコレですよ(*´∀`)

FIFTY FATHOMS AUTOMATIQUE(5015 1130 52A)

 ダイバーズウォッチのイデアそのものと言える存在…それが「フィフティ ファゾムス」という時計ですよね。他のブランパンのモデルに馴染みはなくとも、歴史に裏打ちされたダイバーズアイコンであるコチラ「フィフティ ファゾムス」だけはご存知だと思います。

 正直。ブランパンさんは日本国内で「大人気」とは言いづらいブランドです。しかしこの「フィフティ ファゾムス」なら、かなり多くの「知ってる層」を抱えているはず。そういう意味では「知る人ぞ知る名品」というマニア好みのポジションにありながら、それなりに「巷でドヤれる」ミーハーさも持ち合わせていると言えます(*´∀`)

 

 

 

FIFTY FATHOMS AUTOMATIQUE(5015 1130 52A)

 全てが流麗な曲線で構成されたケースデザインは「ケース幅45ミリ」という大きさを感じさせません。手のひらに載せたときの当たりの柔らかさ、適度な重量感、厚さ「15.5ミリ」も適度な存在感を演出するためには必然に思えます。「30気圧防水」ですからね。これくらいはあって然るべきです。

 サファイアクリスタルを被せたベゼルの美しさを間近で見ると、本当にタメ息が出ます。一切の手抜きを許さないダイアルの仕上げを見れば「191万円」というお値段にも納得しかありません。インデックスの一つ一つも最高レベルの出来だと思いました。まるで宝石を見るかのよう(*´Д`)

 

FIFTY FATHOMS AUTOMATIQUE(5015 1130 52A)

 しまったぁ…これは載せたらアカンやつやった。なんちゅー色っぽさ。これ一本だけでも、相当な満足が得られるでしょうね(笑)

 あくまでも私の経験の中だけの話ですが…高級時計って上の方になればなるほど「手首での収まり性能」が上がるんですよねぇ。変わった形やオーバーサイズだったとしても、100万円を超えた辺りからは、須らくフィット感を約束してくれるようになる。そう思っています。

 この「フィフティ ファゾムス」だって、45ミリ幅ですしデカいんですよ。ですが絶妙なラグの長さや時計本体の重心位置が巧みで、大きさに起因する問題を感じさせません。こういうのを「見えない高性能」と呼ぶのでしょう。

 つまり、世に「高級腕時計」と呼ばれるものほど、身に着けた際に大幅な「印象の加点」があるのです。ホント皆さん、一度着けて見るべしですよ。「フィフティ・ファゾムス」(*´∀`)

 

同じくハイエックセンター4階「グラスヒュッテ・オリジナル」で「SeaQ」を拝む

 お次は同じくハイエックセンター4階の「グラスヒュッテ・オリジナル」さんへ。以前に「パノマティックルナ」「パノリザーブ」を見せていただきましたっけ??

 あれから色々ありましたが、まだまだ諦めてませんからね!!むんずと後ろ髪を引っ張られた状態は継続中です。だから後ろが淋しくなってきたのか!!(汗)

 ブティックではジョン・ブル風味の渋いスタッフさんが丁寧に対応して下さいました。そう!!ここまで経緯を読んで下さった方ならお解りでしょう。私が見たいのは(欲しいのは)「SeaQ」でございます。実機を拝見するのは都合2度目でしょうか。

 

 

「SeaQ(1-39-11-09-81-70)」に感じた絶妙なバランスの妙

SeaQ(1-39-11-09-81-34)

 写真はケース径39.5ミリのシンプルなデイトモデル。「SeaQ(1-39-11-09-81-70)」です。この「青ッ!!」美しい…(*´∀`)

 この「SeaQ」の魅力はほのかに漂う「旧東ドイツの香り」にあると思っています。平凡なダイバーズ顔でありながらどことなく「ユニークな存在」に見えるのは、背負ってきた数奇な歴史の足跡を感じさせるからでしょう。

 第二次大戦が終結し東ドイツが成立すると、グラスヒュッテの主だったメーカーは国営公社GUB(グラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ)に統合。しかし、西側との技術力の差は次第に広がり、そのまま歴史に埋もれるかに見えました。

 一時は尾羽打ち枯らした旧東ドイツ勢力ですが…東西ドイツ再統合を機にGUBは民営化され「グラスヒュッテ・オリジナル」となりました。時計学校を作るなどして中心地「グラスヒュッテ」をもり立てるとともに、華やかな表舞台に躍り出てきたことは周知の通りです。
 現代の評価で「世界5大腕時計ブランド」を列挙すれば、そこに「A. ランゲ&ゾーネ」も居並びますし、その頂点に導かれるように「グラスヒュッテは高級腕時計生産地」というイメージも着実に醸成されてきました。

 その中で「グラスヒュッテ・オリジナル」は、ランゲに次ぐブランドとして認知されていると思います。ランゲ同様にゲルマン気質を色濃く引き継いだ、独特の「質素と倹約の精神」を感じさせる物作りの姿勢。凄いのに、凄さをひけらかさない…いや、むしろ隠すことにこそ「美学」があるのかもしれません(*´∀`)

 技術力などの正当な自慢ごとですら「精神」に反するという考え方が根底にあって「SeaQ」のような渋好みの時計が生まれたのかもしれませんねぇ。何も考えないでボーっと見る分には、めっちゃ地味なんですもん。コレ。

 

パノラマデイトでギミック感がアップ「SeaQ(1-36-13-01-80-33)」

SeaQ(1-36-13-01-80-33)

 こちらはパノラマデイトが配された「SeaQ」のパノラマデイト「1-36-13-01-80-33」です。パノラマデイトがあると、一気に旧東独…グラスヒュッテっぽく見えるから摩訶不思議(笑)ほんの僅かな拘りがもたらす、ほんの僅かなラグジュアリーが心地良いです。

 ラバーストラップ装備のお品でしたが、肌触りが良く、素晴らしいフィット感がありました。これは間違いなく、そんじょそこいらの安物では味わえないフィーリングです(*´∀`)

 

嫌味のないゴージャスが楽しめる「SeaQ Chronograph(1-37-23-02-81-33)」

SeaQ Chronograph(1-37-23-02-81-33)

 でもって、こちらはケース径43.2ミリの「クロノグラフ」。銀座ですらそれほど入荷しないモデルだそうですよ。バイコンパックスのサブダイアルが程よい主張でデザインのヘソを担っていました(大好き!!)ついでにパノラマデイトの存在感がこの時計の非凡さを教えてくれます。あぁ…マジで好きだこれ。

 本日拝見した全てのモデルに共通して言えることですが、まず驚くべきは「ダイアルの仕上げ」でしょうね。終端に向けて沈み込む手の込んだ作り。思い通りの設計で具現が可能な完全自社製である以上、その完成度にも想像が付くと思いますが「グラスヒュッテ・オリジナル」という質素なブランドイメージゆえでしょうかねぇ…実物をじっくりと観察することでしか、本当の凄さは理解できないと感じます。

 もちろん、ケースの仕上げ、針やインデックスの完成度も素晴らしいです。ですが私の目には突出してダイアルの素晴らしさが印象に残りました。地味なインデックス、地味な針でありながら、そこはかとなく「上物」であることを訴えかけてくるのは、このダイアルがあればこそだと思います。

 搭載する「Cal.37-23」自動巻きは70時間のパワーリザーブ。防水性能は300メートルです。クロノで70時間…時代を感じるなぁ~(*´∀`)

 

 

 

ハイエックセンター3階「ブレゲ」で「タイプXXI」を拝む

 最後に足を踏み入れたのは、世界5大腕時計ブランド「ブレゲ」さんの世界。私などにはまるで縁遠い空間でありながら、腕時計好きを引き寄せる絶大な磁力。「見たいお時計があれば仰って下さい」とスタッフさんに促されるも、むしろ「こんな私に見せても構わない時計があればお願いします!!」的なへりくだりを抑えられない私。こんな反射も仕方がないですよね??ブレゲさんなんだもん(;´∀`)

 

上がりのパイロットになるか!?「タイプXXI(3810ST/92/SZ9)」

 ここでも金銭的な事情を正直にお伝えしてから、商談の席に着かせていただきました。しばらくの後、目の前に運ばれてきたのは「タイプXXI」。フランス海軍航空隊などの御用達に起源を持つ、由緒あるパイロットウォッチの末裔です。

TypeXXI(3810ST/92/SZ9)

 あーダメだ。速攻で手首に乗せてしまった(笑)

 それにしてもこの「タイプXXIシリーズ」は私にとって実に悩ましい時計なのです。旧型の「XX」…第3世代「アエロナバル」と第4世代「トランスアトランティック」が、私評価で「素敵過ぎた」っていうのもありますが…その後の「XXI」の姿は、細部や全体的な仕上げも含めて「コレじゃない方向」に向かっているように思えたのです。「XXⅡ」に至っては「3817」「3880」など、残念ながら私の中のデザインコードからは完全に外れ…(汗)

 最初から今のサイズ感なら気にならないはずが、コンパクトで完成度の高かった「XX」が記憶にあるせいで「…やっぱ大きいかなぁ~??」というモヤモヤが晴れることはありませんでした。

 とは言え、それは公式などで写真を見た際に感じた印象に過ぎません。実際に現物を拝見して手首に合わせると、そこには絶対的な「説得力」がありました。唯々美しく、唯々素敵…(*´Д`)

 本日、ハイエックセンターで拝見した腕時計たちと同様に「タイプXXI」の着け心地も極上の部類。据わりの良さで言えば、本日のピカイチかもしれません。10気圧の防水がありますし、ケース径も42ミリと実用範囲内です。高性能のフライバックを搭載して、尚且つあの「ブレゲ」でありながら「200万円以下」で買えちゃうんですから…ぶっちゃけお買い得も甚だしいですよ(笑)

 私の中でタイプ「XX」への憧憬を捨てきれなかったことが「XXI」への評価を不当に辛くした要因だと思います。「腕時計は現物を見てから」…この絶対的な「真理」を忘れたせいで、しょーもないバイアスがかかっていたのです。長年、腕時計が好きだとか標榜しておきながら…所詮はこの程度っす(汗)

 「懐古趣味」自体は腕時計を愛好するスタイルの一つに過ぎませんし、極めてポピュラーな嗜好と言えるでしょう。過去の名品に実態以上の高い評価を与えてしまうことも決して珍しいことではありません。しかしその過ぎた思い込みが目を曇らせることもまた事実。これは間違いなく「終のパイロット」に相応しい時計です。「XXI」の生産中止も進んでいるようですし、決断までに暇はなさそうだなぁ。

 ブレゲさんほどの超一流になると、最新モデルかどうかなんて、正直どうでも良くなってきます。自分の趣味にあったモデルを素直に手に入れる大人の楽しみ方が相応しいブランドなのです。とりあえず、漢っぽくてイカす「3810TI/H2/TZ9」辺りも合わせて検討しちゃおうかなぁ…

 

 

 

大阪にも欲しい「ハイエック センター」

 さて、スウォッチグループの中でも上位グループを形成する3つのブランドから、上がりの…或いは「終の腕時計」になりうる価値のあるスポーツウォッチを見て参りました。どれもこれも、私の経済的な限界点に挑戦するかの如き高級腕時計です。

 恐らくこれら3つのブランドにとって、腕時計製造そのものにおけるスウォッチグループの「スケールメリット」自体は大きくないでしょう。それぞれが単体で超一流のメゾンですから。

 しかし、それらを一度で存分に堪能できる空間を提供してくれたスウォッチグループには感謝してもしきれません。叶うならば、大阪にもど派手な「ハイエックセンター」を建立して欲しいものです(御堂筋沿いにお願いします!!)何なら、食い倒れ人形みたいな「ハイエックさん人形」を置いてくれても良いんやで??

 

最後に

 ハイエックセンターを後にして、夕刻にさしかかった銀座の空を見上げた私。「脳が疲れる」とはこのことでしょう。腕時計好きではあっても、高級ブランド好きではありませんからねぇ…私(;´Д`)

 一向に慣れることのないブルジョアな空間に「重度のラグジュアリー疲れ」起こした私の脳裏に鳴り響く「中華鍋とおたまがぶつかるサウンド」…浮かんできたのは「王将のラーメンとギョーザ」のビジョンでした。高級腕時計でエラーを起こした感覚を、庶民のそれに戻す効果的な方法は「餃子の王将に寄って帰る」…これに尽きます(笑)

 でもこれ以上太ると取り返しがつかないので…「コーテルイーナーホ」くらいにしておきますかぁ(;´∀`)