腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

1930年代製の「ゼニス」と「松下庵」のマリアージュが最高すぎた

 自分が歳を取るほどに少なくなるのが「先達」。それ自体は自然の理ですが、やっぱり淋しいものです。改めて、口酸っぱく年上に叱られていた頃が華だったなぁ~と思うんですよねぇ(;´Д`)

 とは言え、若い時分にはとてもそんな風には思えないものです。「年寄りウゼぇ!!」「いちいち説教クセぇ!!」…罰当たりにも私自身、そんな風にしか感じていなかったような気がしますし(汗)

 

万事、先達に学ぶべし!!

 「老害」なんて言葉もございます。「若害」だってあるはずなのに「若気の至り」ってな免罪ワードがあるものだから許される。だったら「老いの至り」だってあっても良いじゃないか…そんな風に思うのは、自分が老境に踏み込もうとしているからなのでしょう。

 私の周りにだって「面倒くさい年寄り」はいますよ?? ですが、敬愛すべき眉雪の御仁だって少なくありません。そういった方々と接する都度、沢山のことを勉強させてもらっています。

 

 東京に異動になってしばらく後、仲良くなったベテランのジャーナリストさんがいます。その方と日々交わす「ちょっとした一言一句」がチョー凄い。残らず私の好奇心を刺激するのです。政治報道の世界で長く修羅場を潜ってきた経験の為せる技だと思いますが、60歳代半ばになっても衰えない「眼光」を見ると、与太郎な自分なんかが偉そうに老け込んでる場合じゃないよなぁ~と思い知らされます。

 要するにその方は「本物」なのです。本物は老いても…いや、老いた分だけ輝きを増すのではないかとすら思えます。それにしても…周囲の人によく不思議がられるのですが…東京にやってきて2年やそこらで、何でそこまで重鎮と仲良くなれたの??…と。

 「本物は本物を知る!!そやからオレに目をかけてくれてるんや!!」…と言えれば格好良いのでしょうが、そうではありません(汗)理由があるとすれば、 私が「人の話をちゃんと聞く男」だからでしょうか。

 

 運の良いことに、私の周囲には若い頃から必ず「頼りになる先達」がおられました。そして私は先達の言葉を熱心に聞く質なのです。

 若輩の私がイラストレーターとして独立して食えたのも大先輩の助言があったればこそでしたし、その後鞍替えして報道の世界に入ったときも、多くの先達が道を示してくれました。彼らがいなかったら、私なんてどうなっていたか解りません。気の小さい男ですから、最悪、引きこもりを拗らせて、社会との繋がりを断絶していたかもです(;´Д`)

 

想像力があれば敬える

 「敬う」ということは、その「相手を知る」ということです。よく「年寄の自慢話はつまらん」と愚痴る若い人の話を耳にしますが、それは完全に「想像力の欠如」です。先達の若い頃にタイムスリップして、同じ歩調で歩くように話を聞いてご覧なさい。一体どれだけためになることか。

 想像力の欠如は、ありとあらゆる可能性を否定するものです。それは余りにも勿体ない。特に若い方には助言します。お年寄りの貴重な経験を手っ取り早く盗むために、まずは「話を聞くべし」と。そこから何を拾えるかは本人の才能次第ですが、学んでやろうと近付いてくる若い人を手荒く邪険にする年寄りを、私は見たことがありません。人間というものは元来、自らの経験や知見を、叶うならば後世に残したいと考えるものなのです。

 

 そういう関係性が世代間で築けたなら、お年寄りが「最近の若い者は!!」と常套句を呟くこともなくなるでしょうし、若者が「老害鬱陶しい!!」と毒を吐くこともなくなるでしょう。歩み寄りですよ。結局は(;´∀`)

 

機械式時計は「永遠の命」

 人間、80歳も半ばに差し掛かると、傍から立って歩いているのを見るだけでも「スゲぇ!!」と思うじゃないですか?? 元気なお年寄りの存在は、もうそれだけで立派な「ギフト」なんですよ。比べて私なんか、情けないことにあちこちガタがきていますからね(汗) 正直、膝のメカニズムなんてボロボロっすよ(´;ω;`)

 

 そこいくと腕時計は凄い!!80歳だろうが90、100歳だろうが、現役で使えるものがゴロゴロあるのですから。特に機械式はある意味「永遠の命」。鉄郎がメーテルを伴って機械化母星へ行かなくとも、機械式には永遠の命が宿っているのですよ。ちゃんとした人が使って、ちゃんとした人がメンテナンスしていれば…ですけどね。

オープン当日にFIRE KIDS「中野ブロードウェイ店」に行く

 話は変わって(笑)アンティークウォッチの名店「FIRE KIDS(ファイアーキッズ)」さんが新たに開店した「中野ブロードウェイ店」に、3月21日火曜日の開店初日に行ってきました。「ランデロン48」搭載の渋いクロノグラフが欲しくて「横浜本店」まで行こうとした話は書かせてもらったと思いますが、この度、すぐご近所と言っても過言ではない「中野ブロードウェイ」への出店が決まり、それこそ、渡りに船で乗り込んだ次第です(*´∀`*)

 

 京王バスでゆるゆるとJR中野駅前へ。やっぱ祭日の人手は凄いなぁ~と思いつつ、自然と脚は喫煙できる喫茶店「Pukari」さんへ。ここに来るのも何度目だろう。こういう「居場所」があるとないとでは、街への愛着が変わってくるのです。取り敢えず一服アンド腹ごなし(焼きそば大盛りを注文)

 小一時間経過、根が生えそうになってきた頃にようやく重い腰を上げ、みんなの聖地「中野ブロードウェイ」へ。鼻孔をくすぐる「オタクの香り」…フッ…たまんねぇぜ( ー`дー´)

 

 いつものようにスルスルッと3階へ。あれ??どこやねん「ファイアーキッズ」??…まさか…1階やんか!!(;´Д`)

「おじちゃん覚悟して入ってね!!」と言われた気がしました(笑)

 ありました!!開店祝いのお花で輪郭際立つ一角に、真新しいお店はありました。なるほど~さすが開店日当日。賑わっとる賑わっとる(*´∀`)

 

 さて、重厚なインテリアの店内でセンス良く飾られたアンティークウォッチたち。大切に大切に扱われる全ての時計はどれも宝物のように見えました。実際、アンティークは全てが「一点物」ですから、それだけ価値のある存在なのです。物によっては秘宝レベル…ここはアレか!?「秘宝館」か!?(違う!!)

 それにしても、私の目を引いたのはお品物たちの「個々のコンディション」です。アンティーク・ヴィンテージに対しては知識も経験も乏しい私です。ですからこれは「私がそう感じた」に過ぎない話であることを断っておくとして…

 上手く言えませんが…「綺麗すぎない」のです。各々の時計が。ちゃんとそれぞれの時代感を明確にもって「私は何時何時の生まれの時計です」と訴えてきている感じがしました。ですから、商品を吟味する側としては、めちゃくちゃお品物が見やすかった。まずは何時の時代の物かをお客にちゃんと伝えること…アンティーク品を扱うお店にとっては、一番大切なことだと思います。

 

 スタッフの方に声をかけられ、こちらから色々な質問を投げかける中で、幾つかの時計を薦められた私…

 

「どうです??良いでしょう~」

「確かに…たまらないですね!!」

「色っぽいでしょう~」

「エロいっす!!」

 

 はいこれ、対象は「腕時計」ですからね(笑)

 初めて入ったお店で成り立つ「腕時計馬鹿トーク」…このやり取りだけで、居心地の良いお店だなぁ~って思いましたねぇ。

 こんなお馬鹿なゆるゆるトークの中にもヒントがあります。お店に入った瞬間に感じるものがありましたが、この「ファイアーキッズ」さんの品揃え、お店の雰囲気、スタッフさんの所作…どこか色気があるんです。

 

 ここの腕時計たちが全員「麗しのレディー」だとしたら、年式から言ってそれは大概な「年増」だということになりますよね??例えば、古典落語に出てくる「イイ女」は基本「年増」と相場が決まっているじゃないですか??とすれば「ファイアーキッズ」さんのショーケースに鎮座する時計たちは「小股の切れ上がったイイ女」揃いということになるのかも??

 異論はありません。色気に当てられ、べらぼーに目移りしちゃいましたから(;´∀`)

 

公式ページで気になっていた「ゼニス オクタゴンケース 1930年代製」が目の前に

 「それ、気になりますか??」と言われた私の視線の先にあったのは、かなり年季の入った「ゼニス」。それは前回「ランデロン48もの」を探しに行こうと公式ページを彷徨っていた時点で探し当て「何やこのゼニスは!?」と気になっていたモデルでした。見せて下さいとお願いするまでもなく、恭しくトレイに載せられたゼニスを拝見することに。

なんじゃこりゃ~(笑)

 1930年代製ということですから…御年「90歳越え」。ヨボヨボの御老体です。人生の大先輩に失礼のないように、私も細心の注意と敬意を払って扱いました。

 

 それにしても…本当におよそ100年も前のセンスなのでしょうか??このままのスタイルで忠実に復刻したとしても、現代に十分に受け入れられるデザインだと思いました。

 さすがに90年分の傷に覆われてはいますが、しっかり角の残るオクタゴン型のケースがシャープで男らしく、現代の感覚では極小の「27.3ミリ幅」であることを全く感じさせません。ラグ一体型で縦方向が長いため、視覚的な存在感が強いのです。

 

 社外品のブレスは「バンブータイプ」。コイル状のコマが連なる様は近年見たこともない異様な雰囲気。ところがこの「オクタゴンのゼニス」にはそれがしっくりとハマっていました。100年前の伊達男たちが、こんなお洒落な時計を愛用していたなんて(*´∀`)

若い子には出せない色気ですなぁ(*´∀`)

 写真では解りづらいのですが、内周と外周で風合いの異なるシルバーのセクターダイヤルです。雰囲気満点のスモールセコンド、外周のミニッツトラックはレイルウェイ。それだけでも十分に私の大好物でございます。

 

 さらに「ブレゲ風文字」のインデックスでしょ。でもって「ブレゲ風針」ですよ。もちろん針は「ブルースチール」ですからね!!嫌いなわけ…ないじゃないですか(;´∀`)

 

「アンティーク ウォッチ」は怖くない??

 ここまで所要時間5分くらいですかね??姿見でも手首に巻いた状態を確認させていただきましたし、時間とともにどんどん愛着が濃くなって「これはもう…観念するしか…」なんて腹を括った私。ただ正直、一抹の不安もあったのです。

 以前、何かの本の一節に「アンティークウォッチを趣味にするなら、修理も自分でやれて当然」と手厳しい記述がありました。その全てを鵜呑みにしたわけではないのですが、現行品よりはるかにコンディション保全の難しいアンティーク品を日常使いするなら、ある程度の知識と技能が欠かせないのは確かでしょう。それなのに私が趣味で通った時計学校で触った経験のあるムーブメントは「ETA6497」…ユニタスだけなのです。

 つまり、自分で触れないから「恐ろしくて」アンティークには手を出さなかったわけなのですが、ここ最近はその信念にもゆらぎが生じていました。例えばギリギリ「60年代製」なら、物によっては現行品に近いコンディションの物も珍しくありませんし、その辺りなら手に入れても良いかなぁ~なんて思うようになってきたのです。

 

 さらに火を点けたのが一冊の専門誌でした。時計ジャーナリスト、広田さんの執筆で令和4年7月にLOWBEAT編集部から発行された「クロノグラフ大全」がそれです。これが何とも…罪作りな本でして(;´∀`)

 「ランデロン48」のアンティークが欲しいと思ってしまったのも、アンティーク全体に対しての興味が熱を帯びてしまったのも、全てはこの本の影響なのです。ただただ純粋に魅了されて、どうしようもなく手に入れたくなった私。そうなると自分で修理ができるとかできないとかの「一線」も曖昧に…そしてついに「アンティークの大門」を潜ってしまったというわけです(;´Д`)

中身を見せられたら「フォーリンラブ」

 「中身、ご覧になられますか??」と言われて「結構です!!」と断っていたなら…一旦、家に帰って検討するという展開もあったかもしれません。ですが私は見てしまったのです。およそ100年前の…技工の粋を。

裏蓋を開けなきゃ見れないのにこの作り込み!!

 オーバーホール済みのムーブメント、ゼニス「Cal.106」の美しさ…決して豪奢な作りではありませんが、プレートの曲線的なカットが艶めかしく、一瞬で目を奪われました。穴石もきれいだ…。小さなケースにギューギューに詰め込まれたムーブメントの「お宝感」を見せつけられたらしょうがありません。この時点でジ・エンド。「ぐぬぬ…頂戴します!!」と相成りました。 

 

ゼニス「オクタゴンケース 1930年代製」購入

買っちまったぜぇ~(*´∀`*)

 うちのコレクションで古い時計を探しても、見つかるのはせいぜいが「70年代製」です。ですから今回購入した「ゼニスのアンティーク」は、手元にある全ての腕時計たちにとって「大先輩」ということになります。皆んな!!ご隠居に失礼のないようにな!!(*´∀`*)

 

 さて、買い物をした日は火曜日の祭日でして…当然、次の日はお仕事。取り敢えず、時計を買ったら速攻で使うのが礼儀(?)ですから、特に何もせずそのまま会社に着けていくことにしました。

 不慣れなバンブーブレスの取り扱いにも苦戦しましたが、突如、この小さな腕時計を巻かれた左腕が、何やら戸惑っているようにも感じました。しかし、小一時間もして馴染んでくると、不思議なことに「全く無理なく腕時計」なのです。

 

 もっと心理的な違和感が生じると思っていましたし、腑に落ちるにはそれなりの時間が必要だと思っていましたが、案外あっさりと自分の時計になりました。これだからホンマに腕時計は面白いです(*´∀`*)

誰にも気付かれない…密やかな楽しみ(*´∀`*)

 う~ん!!何だかスゴく良いなぁ(笑)

 ドヤるとも違う「誇らしさ」。見た目の慎ましさと相反する「歴史の重み」。この時計にとって、私は何人目の「腕」なんだろう…なんて夢想しつつ、何とも言えない幸福感の中で働くことができました。だって、90年以上前の時計が元気に動いてるんだぜ?? 若造のワシも頑張らんとなぁ(*´∀`*)

 

お色気タップリ「ステイブライト」のケース

 エッジの効いたデザインで、且つそのエッジが立った状態で残ってますので目立ちませんが…じっくり見れば、そりゃあ傷だらけです。

 だけどこの傷…どこか人間味があって温もりがあるんです。そもそもステンレスのはずなのに、それにしては妙に色気がムンムン。「銀無垢っぽい」なんて言ったら、褒めすぎかな??

カトラリーにも使われていた「ステイブライト」 出典:https://ja.m.wikipedia.org/

 いやいや!!実はこのケース、今で言うところのステンレス・スチールではないそうでして、その名も「STAYBRITE(ステイブライト)」。何だか新素材みたいな名前ですが、ステンレス素材の黎明期に使われたオールドステンレスの一種だそうです。探してみたら開発年は「1924年」という情報を発見。1930年代に作られた時計なわけですから、当時一番ホットな「最新素材」を用いたということです。おぉ!!何か知らんが「脳内価値」が上がった!!(笑)

 ちなみに「ステイブライト」という素材はステンレスと異なり「鉄」「クロム」「ニッケル」…そして、プラチナの仲間である白金族の「ロジウム」が含まれているそうです。とすれば私が、現行のステンレスには無い上品な風合いを感じたのも至極納得できます。

 

 文献などでこれまで、幾度か耳にしたことがある「デニスチール」という素材も、基本的には同素材みたいです。どちらもアンティークウォッチの世界では「上物素材」の一つ。むむむ…これまた脳内価値が上がったぞ!!(*´∀`*)

 

「Cal.106」堪らない巻き上げの感触に身悶える

ピッカピカで眩しい「Cal.106」

 さあ諸君!!もう一度じっくり見てくれたまえ!!(*´∇`*)

 最高です。この「巻き上げ感」。オールドムーブメントの特有の反発が、心地よいテンションとして指先に伝わってきます。はぁ…めっちゃ良い。やっぱり手巻きは…最高です!!(*´∀`*)

 タイムグラファーには載せていませんので、詳しいところはこれから調べるつもりですが…「ファイアーキッズ」さん曰く「悪くない精度」だそうです。個人的にはアンティークですし、日差1分くらいなら全然許容できますけどね。期待しましょう!!

 

 しかしまぁ…どうです「Cal.106」。今の基準で見れば、装飾など決して高級品の作りではないと思います。ですがブリッジの変態的なカットや、その面取りを見れば「やることはやっている」と解ります。何といっても、小さなケースにギュッと詰まったムーブメントが…ひとしお愛おしいじゃないですか(*´∀`*)

ストラップをどうしましょう??

 そうなんですよぉ…付属の変態的なバンブーブレスも面白いのですが、やっぱりちょっと使いにくい…今後の着脱の手間を考えると、交換すべきだと考えました。「着けにくい」はイコール「使いにくい」ですからねぇ(;´∀`)

 

 でねぇ…とりあえずフツーのNATO(14ミリ)を買ったんです。まぁこれはこれで全然アリだと思いました。ある種の違和感を楽しむのならば。

 ただ、やはりアンティークの「時代感」を大切にするのであれば、これじゃあないのですよねぇ(;´Д`)

 そんな感じで手に入れたものの、上手に使えないまま日々は過ぎていきました。

 

 そうこうする内に、手持ちのパネライ「ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ(PAM00723)」をブレスからレザーストラップに替えたい衝動が沸き起こってきたので、週末の空き時間に「両国」へ。向かうは「パネリスティ」の聖地「松下庵」さんでございます。

 SNSを通じて「松下庵」さんの作品の素晴らしさは重々承知していましたが、私自身はこの時が「初めての訪問」でした。

 

 で、この時点ですでに「アンティークの変わったゼニスがあるので、今度相談させて下さい!!」と伝えていた私。そして本日の再訪で「完璧に理想を叶えてくれたストラップ」を手に入れることができたのです。

 それがこちらです!!(*´∇`*)

 

コードバンの「パリス環式ストラップ」でドレスアップ!!

【松下庵】パリス環式ストラップ(コードバン)

 どうよ!!マジでどうよ!!

 こんなにオサレになっちゃうんデスヨー!!(*´∀`*)

 

 もうねぇ…惚れ惚れします。着けてもらった瞬間、私の声は僅かに震えていたはずです。松下庵さんの「パリス環式ストラップ」で着飾ったゼニスの姿は、私の想像の遙か上を行く「美の権化」と化していました。

 恥ずかしながら「パリス環式」は初めての私。作者の松下さんに装着の手順から丁寧にご教授いただきました。

 

 実は「パリス環式ストラップ」の接続部の幅は「15ミリ」で、私が持ち込んだゼニスのラグの内幅は「約14ミリ」。ってことはそのままだと「キレイに使えない」ってことに。とは言えたった「1ミリ」ですもん。指でギュムってやったら使えますよね?? きっと(;´∀`)

 

 「削りましょう!!」と仰って工房に消える松下さん。ここでようやく「もしかしたら、滅茶苦茶メンドクサイこと頼んだんちゃうんか!?」と気付くアホアホな私。そうして仕上がった「改造パリス環式」

アンティークウォッチの世界観を壊さない特注の「尾錠」も雰囲気満点です(*´∀`*)

 差し出された「パリス環式ストラップ」の余りの格好良さに、さらに追加で「2本(ブラウンとネイビー)購入させてもらいました。面倒ごとを増やして計3本。申し訳なくも嬉しい、新しい「お宝」をゲットです(*´∇`*)

 

アンティークだって使わなくちゃ!!

 どんな時計も実際に使えなければ、それは時計とは呼べませんし、使わなければ文字通り「宝の持ち腐れ」だと思います。そういう意味では、ケースバックまで覆われた「パリス環式ストラップ」は福音。これで汗っかきの私でも、禁断の「夏場にアンティーク」を楽しむことができそうです。

 さすがに大雨の日は遠慮したいところですが、汗を気にしないで済むなら、夏だろうと何だろうとバンバン使い倒したい「アンティークウォッチ」。ファイアーキッズさんがバッチリオーバーホールを決めてくれた「オクタゴンケースのゼニス」だって、活躍の場が広がることを望むはずです。

 

 それにしても、アンティークウォッチに「相応しいストラップ」には中々出会えないものです。「アンティーク風」のストラップなら幾らでもありますし、それらを組み合わせることで十分に雰囲気の出る場合もあるでしょう。

 ですが「やっぱり何か違うんだよなぁ~」としか思えない場合もあります。手に入れたゼニスが、まさにそんな感じの時計でした。ECサイトで探しても探しても、納得の一本には出会えなかったのです。

 そんなわけで「松下庵」さんには「フルオーダー」するつもりで伺いました。ですが「こんなのもあります」と紹介された「パリス環式ストラップ」は、正しく私が「作って欲しかったストラップ」そのものでした。この出会いと感動…解りますか??

 

 価格も知らずに「これにします!!」と伝えた「パリス環式ストラップ」でしたが、私はその見た目と細工から「安くても2万円台半ば」と予想しました。それくらいなら私のお財布でも痛くありませんし、間違いなく「良い買い物だった!!」と思えます。で、実際のお値段がコチラ…

 

【コードバン】パリス環式
6,600円
(23年4月現在)

 

 ( ゚д゚)…ね?? 「3本行ったれ!!」って思うのも無理からぬことでしょ??

 汗防御にもなって、滑らかなコードバンの美麗も味わえる。アンティークにドンピシャのオリジナル尾錠が付いてこのお値段です。常識的にありえないと思います。

 

 とにかく、お陰さまで1930年代アンティークの可能性がドカーンと広がりました。早く誰かに見せびらかしたい!! こんな密やかな「時計自慢」なら構わないですよね??(笑)

【松下庵】時計用革ベルト・ストラップのオーダーメイド・販売

 

 

最後に

カッコいいのとカワイイのと全部入り!!(*´∀`*)

 グッドコンディションのゼニスを提供してくれた「ファイアーキッズ」さん。そのゼニスの魅力を余すところなく引き出してくれた「松下庵」さんのストラップ。私の好奇心を満足させ幸福で満たしてくれたお二方に、この場をお借りしてお礼申し上げます。大切に使って使って、使い倒しますねっ!!(*´∀`*)

 

 さて、随分とお手間を掛けてしまった「パリス環式ストラップ」の微調整。ラインナップに存在しないサイズを頼んだわけですから、その手間賃の上乗せは当然だと思いました。なのでお支払いの際に「手間賃を取って下さい」と申し出てみたのですが…「お気持ちだけ」ってな感じに。

 私は古い人間なので、プロの「良い仕事」には相応の対価を払うべきだと考えています。でももしかしたら「松下庵」さんの方も「プロなら些細な仕事でお金は取れない」という価値観があるのかもしれません。多分あれは私の「気持ちよく買いたい」と、松下庵さんの「気持ちよく売りたい」…二つの「古い日本人の価値観」同士が衝突した瞬間だった気がします。何にせよ、腕時計界隈でこんなに「爽やかな気持ちになれるお店も滅多にないでしょうねぇ(*´ω`*)

 

 来週以降、仕事でも何でも天気の良い日にはビシバシ「オクタゴンケースのゼニス」を使っていきますので、この先で気付いたことがあったら書かせてもらいます。「後期高齢腕時計」でも容赦なしですからねっ!!(*´∀`*)