イギリスには「質素な人々」が住む国というイメージがあります。作るものも使うものも質朴。華美を嫌って「シュッ」っとしてるのが好きって感じでしょうか。ちなみに私はアチラの怪奇小説が大好きでして、ストーカーやレ・ファニュ(アイルランド人ですが)をはじめ、多くのゴシック作品を読んできました。何とか原書で読みたいと考え、辞書を片手に1ページずつ読み進めて読破したことも。そんなわけで、いささかねじ曲がった「ジメジメなイギリスのイメージ」が出来上がっております。例えば…
⦿いつも雨が降っている。
⦿油断すると霧に巻かれる。
⦿やたらと人が失踪する。
⦿男も女も着てるものが黒くて地味。
⦿裏町の路地が恐ろしすぎる。
…などなどです。ですから欧米人の日本に対する偏ったイメージに対して「フジヤマ・ゲイシャ・ハラキリかいっ!」などと憤慨する資格は私にはありません。
本日はそんな魔都!?ロンドンが誇る「ROTARY(ロータリー)」の時計について考えます。ドラマ「SHERLOCK」の主人公、シャーロック・ホームズを演じたベネディクト・カンバーバッチさんが劇中で身につけていた時計ブランドとして一部ファンの間ではそれなりの名声を得ましたが、日本での知名度はほぼないに等しいと思います。
私自身も現代劇ながらゴシックな雰囲気漂う「SHERLOCK」のファンでしたので、当然、「ROTARY」は存じていました。モニター越しに見るモデル「カンタベリー」はまるでブレゲの時計のように上品なルックスで、これも当然ながら「すぐ欲しい!」となりました(汗)
意外や意外、調べてビックリ。これがメチャクチャ安いのです。
Canterbury(GS02424/21)
ムーブメントがMIYOTAのクオーツですから「そんなもんだろ?」と思われるかもしれませんが、何といいますかやたらと細工が良いのです。「カンタベリー(クラシック)」はクルド・パリにレコードパターンとギョーシェ盛りだくさんのダイアルなのですが、これがなかなかに良くできているのです。とてもアンダー4万円には見えない。見た目で隣人にハッタリを利かす時計としては最高だと思います。ちなみに日本限定ですが、2種類のストラップを同梱した「SHERLOCK」モデルもあるようです。
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私自身は「カンタベリー」のクロノグラフを使っています。さらに細かいダイアルの作り。身につけるだけで少し賢さが上がるような気がします。
Canterbury Chronograph(GS05333/21)
真面目に作ったクラシカルな時計です。オニオンリューズやプッシャーも様式美の範疇を守った作りで好感が持てます。スモセコのカンタベリーよりは高くなりますが、それでもかなり手頃なお値段です。身に着けるとファストファッションのジャケパンでも、ワンランク上の装いにしてくれます。
私の場合、当たり前のようにNATO化が済んでいますが、それでも美しさは変わりません。NATO化したクラシカルな時計って、砕けた感じで「オシャレ上級者」の雰囲気が出るんですよね(*´∀`)
さて、「ROTARY」には「カンタベリー」以外にも素敵な時計が多くあります。そのどれもが、限られたコストの中で精一杯がんばって作った時計に思えます。
Monaco chronograph(GB05083 / 05)
正統派ラグスポといった感じの趣きがあります。赤い差し色がニクイコイツも5万円もしません。幅42ミリとやや大きめのケースですが、控えめなデザインはそこはかとなくロンドンの街並みを感じさせる品の良さです。ブレスもお値段からして頑張っているのではないでしょうか。
Cambridge(GS05280/01)
ちょうど「Reverso」くらいのサイズ感でスクエアケースの渋い時計です。こういうスタイルの時計が一本あると、コーディネートの幅が格段に広がります。
Cartierの「TANK SOLO」辺りとも似ていますが、アチラは如何にも女性的なのに対して、この「ケンブリッジ」は男性的な印象です。ある程度の年齢を重ねないと着けこなしの難しい種類の時計ですが、袖口から「サラッと」こういう時計が覗いたら…「パパ素敵!」って、なりませんかね?
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Henley Chronograph(GB05235/05)
「ナビタイマーオマージュな時計」は世の中に幾つもありますが、これは本家につかず離れずな味付けが絶妙だと思います。ダイアル円周に計算尺を備えていますが、恐らくは10時位置のスクリューで回すのでしょう。とすればこれは、ナビタイマーではなく、SINNの「903」オマージュウォッチなのかもしれません。どちらにしても「ROTARY風」の解釈のおかげで、本家や903にありがちな「本気度」が薄まって、いい感じのデイリーウォッチになっていると思います。
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↑このクロノもシブいです。
「ROTARY」のラインアップは全部が全部日本で販売されてるわけではないのですが、公式をご覧になっていただければ安くて高いオリジナリティーを有するコレクションに興味を持っていただけるはずです。
スイス生まれのイギリス育ち、そして現在は中国資本で経営される「ROTARY」ですが、2014年に「女王賞(国際貿易法人部門)」を受賞するなど、誠実なモノづくりの姿勢は今でも息づいているようです。
安くて可愛くて、少しスパイスが効いている時計をお探しなら、「ROTARY」の時計も選択肢に加えていただけたらと思います。
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