腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

内心ビビりつつも『パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション』に行ってきました!!

 ご承知の通り、私は「高級腕時計」とやらに縁のない男でございます。もちろん叶うならば「ぶっとい縁」を結びたいと思ってはいますが…とてもとても。リアルな現実を突きつけてくるペラペラのお財布さんは、そんな「身の程知らずの夢」を許してはくれないのです (;´Д`)

 

 とは言え私も腕時計好きの端くれ。新宿の三井住友ビル「三角広場」で開催中の『パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京2023)』を知らないはずはありません。当然ながら気になりまくっていました。

 しかし…「パテック フィリップ」です。縁もゆかりもない「PP」です。いやもう私なんかが略称で呼ぶだけで、バチが当たりそうな気さえします。ですから、見たくても見られない…完全に気後れしていたわけです (;´Д`)

 そうこうするうちに、ツイッター辺りで「行ってきた!!」の報告は増すばかり。しかしそんな皆さんは大抵が「雲上に縁のある方」だったりして、やっぱ、ワシが見に行くのは筋違いやな…なんて諦観を感じながら、過ぎゆく日々を見送っていました。

 ところが、尻込みする私の背中を押してくれるツイートを頂戴しまして…行ってみることにしたんです。丁度、関西の実家で執り行う霊祭(仏式で言うところの法事)で3日の休みを取り、最終日の月曜日には少しだけ時間がありましたし、そもそも私の住むマンションから徒歩10分なんですよ。三角広場。まぁあまり気張らずに、ゆるゆる行くことにしました。平日なら空いているでしょうし (*´∀`*)

 とは言えここで問題が。要するに『お母さま!! 舞踏会に着ていくドレスがございませんわ!!』なのです。パテック フィリップさんの催しですもの。さすがにちょっと考えましたわよ。お母さま (;´∀`)

 ハッキリとした理由は解りませんが、何となく「ロレックスは嫌」でした(笑) デイトナでも持ってれば別なのでしょうが、ミルガウスとDJですからねぇ…これは違うと。「パネライ」は用途的に言語道断ですし「IWC」「オメガ」も、何かちゃうねんなぁーと (;´Д`)

 「外しの極み」「チープカシオ」にしようかとも思ったんです。しかし、ここは東京。関西人のギャグをマジだと勘違いされたら怖い(笑)

 乱打戦の試合に、変化球主体のアンダースローを投入して流れを変える感じで「レベルソ スクアドラ」で行くか!! とも考えましたが…それもなぁーと (;´Д`)

 で結局、すでにあらゆる軛から解き放たれ「達観しまくっている」アンティークのゼニスを着けていくことにしました。例の松下庵さん謹製「パリス環式ストラップ」で現役に戻った90歳超のゼニスなら、どこに連れて行こうが物怖じしないだろう。きっと「パテックさん?? どちらさんでしたかいのぉー??」なんて感じのマイペースで、私のバディーを努めてくれるだろうと考えたのです。頼むぜぇーおゼニさん!!

 

本来なら「国立の美術館」でやるレベル

 とりあえず「半袖じゃあ…アレやな」と、何となくそれっぽいセットアップを着て出かけた私。あっという間に三角広場に着きました。なんせいつものお散歩コースなので、勝手知ったりです(笑)

 予約不要と聞いていたはずが「QRはお持ちですか??」と言われてキョドる私。すぐに問題なく入れることが解りましたが…いきなりしゅんとしてしまいました (;´Д`)

 さて、ブースごとに音声ガイダンスがあるらしく、その説明を受けた後、最初にどうぞと言われて中央のモニター前に移動。ここでパテック フィリップの歴史や取り組みについての基本データを叩き込まれます。「PPブートキャンプ」って感じかな??(笑) あ、このビデオはめっちゃタメになるので、とりあえず一周分は見て下さい。

 で、その後、順路に沿って拝見させていただくのですが…強烈でした。本当に正直申しまして「なんでこんなに凄いものが、普段大したイベントのイメージもない三角広場で見れるんやろ??」と思いました。凄すぎるんです。本来ならちゃんとした美術館に収めてやるべき展覧会なんですよ。しかもそれが「入場無料」ですからね!! (人によっては最後の最後で高く付きますが…)

 

凄すぎて意見を挟む余地がありません!!(笑)

 私なんぞの御託は要らないと思いますので、ひたすら「写真」を貼ってまいります。「図録のPDF」が公式から落とせますので、そちらを見ながら読んでもらえたら、詳細が解ると思います。とにかく今回はスピード重視で行きますので!!

 ちなみに写真の順番は私が通った順路をなぞっています。ただ、残念ながら平日とは思えないほど人がいまして…ゆっくりフォーカスしているゆとりがありませんでした (;´Д`)

 故に大した写真はございません。私の隣でマジな機材を使って撮りまくっていた方(恐らくプレスではない…)もいらっしゃいましたが(羨ましい)…実際はほとんど立ち止まることが許されませんでした。なので昔の「パンフォーカスカメラ」で撮ったみたいな写真です。誰や!? 汚いオッサンがこっち睨んできよる!! ってワシが映り込んどるやないかーい!! (鏡を使った演出が多いので映っちゃうんですよ…)

 

では、マーベラスなパテック フィリップのコレクションをご覧ください

 初めは置き時計や懐中時計が中心のブースから拝見しました。凄すぎて凄すぎて…慄えますよ ((((;゚Д゚))))

 ペンダント・ウォッチ「マグダラのマリア(S0177)」こういった装飾は宗教の寓話なんかがモチーフの場合が多いのかもしれませんねぇ ( ´∀`)

 これめっちゃクールだと思いませんか?? 「アンプリチュード(S0534)」

 「常力脱進機搭載 マリン・クロノメーター(S1004)」。こんな感じの置き時計が欲しいですなぁ (*´∀`*)

 奥が「キューピッドの翼を縛るヴィナス(A0133A & S0133B)」。手前が「薔薇(S0150A & S0150B)」

 奥が「バッカス神の巫女(S0617)」手前3つは秋と冬モチーフだそうです。春夏どこいった??

 グリップ部が時計になっているらしいピストル型(奥)その名も「恋の決闘(S0001A & S0001B)」。貴族やなぁー (;´∀`)

 オートマトン付きリピーター「S0193」。綱渡り芸が見られるそうな。

 「ワルツ(S0323)」手前と奥のレイヤーでオートマトンが動くそうです。芸が細かいぜ!!

 強烈だ…かつては高貴な方々の顔を直接平民が見ると「目が潰れる」と言われたそうですが、私のお目々は大丈夫でしょうか??

 のっけから「懐中時計」の凄さに圧倒されて、小声で「凄ぇ…」しか言ってなかった私です。それにしても、懐中時計はデカい!! 重さだって恐らくは見たまんまでしょう。そんな懐中時計を常用のために携帯するには、腕時計とは比較にならない「覚悟」が必要だったはずです。だからこそ、オートマタなどで豪奢な作りの懐中時計は、使うべき資格を持った「限られた人々の持ち物」として、不動のステータスシンボルたり得たのだと思います。多分…

 

為になる資料の数々

 所々にこんな感じの資料が掲示してありました。時計好きなら間違いなくそこで立ち止まるはず(笑)

 

懐中時計などの続き

 「グランド・コンプリケーション(P1513)」この金の懐中時計…現代の感覚で見ても全く古さを感じさせません。まさに完璧じゃないか…こんなの持ってたら、他の時計なんて一本も必要ないかも??

腕時計も混じり始めます

 今回の展覧会で一番ビビらされたのは、こういった装飾工芸の巧みさでした。気品に満ちたそれらは文字通り「貴族的」で、この辺りの「血筋」が現代の作品にも受け継がれていると考えると、やはり私みたいな庶民が軽々に持つべきではないのかもしれんなぁーと思ったり (;´∀`)

 1868年製。これ、良く解んないけど素敵でした!! 腕に着けたら手の甲に突き刺さりそうですけどね!!(笑)

 パテックで一番欲しい時計を上げるなら、間違いなく「ワールド タイム」なんですよねぇ… 過去作も最高です (*´∀`*)

 懐中時計の凄まじさに心臓を捧げそうになるくらい衝撃を受けた私ですが、レディス向けの作品の優美さにもため息が漏れました。ある意味メンズよりも贅を尽くした作りで、当時の最先端ファッションを、工芸面からも牽引していたことが伺えます。

 こんな70年代モードな作品もあったんですねぇ。面白いなぁー ( ´∀`)

 七宝細密画。おいおいおい!! 凄すぎるぞ!!

 この筆致!! 美しいとしか言えない…

 ピューリタンたちを運んだ「メイフラワー号」。このスペースに詰め込むだけ詰め込んだドラマ…強烈な仕事ですわ!!

 デューク・エリントンモデル。

 シャム国王ラーマ5世の懐中時計。

 法皇ピウス9世の懐中時計(P0736)。法皇さま…誠に凄い時計をお持ちでいらっしゃる…

 

 先に見た歴史的名品の数々が強烈過ぎて、近作が霞んで見える謎現象発生(笑)まぁこの空間を一歩でも出たら元通りですけどね。きっと。

 これ見た瞬間、めちゃくちゃノーチラス欲しくなりました(笑)

 これ、皆さんクリクリ回してましたね。まるでチベット仏教の「マニ車」のように…

 個人的にはこの図面もタマランかったです。何だか学生時代を思い出しちゃって…

https://youtube.com/shorts/si0daE87geY?feature=share

 めちゃめちゃ格好良かった… (//∇//) ふぅ…

 

 これだけ写真があると読む方(見る方??)も大変だったと思います。お疲れさまでした (;´∀`)

 誠に残念ながら、全ての写真を押さえることは叶いませんでした。お付きの人が随伴するような「典型的なお金持ちの一行」に気圧された私が、おずおずと場所を譲ってしまったからなんですが…(汗) ただ、情けなくも中々に良い経験をしたと思います。漫画みたいなお金持ちが実在すると知れただけで…楽しくて (;´∀`)

 身内話で恐縮ですが、恥ずかしながらウチの親父殿がまさに同じタイプでした。「ヨッシャヨッシャ!!買うたるでぇ!!」みたいな(笑) だからですかねぇ…妙に親近感が湧いちゃって…(笑)

 親父が存命で元気だったら、こんな楽しいゴージャスなイベントを見逃すはずがないのです。息子の私が誘ったら一緒に来てくれただろうか…ドサクサに紛れておねだりしたら「ヨッシャ!!今から銀座に繰り出すでぇ!!」と言ってくれただろうか… いや、恐らくは在りし日に見せつけられたように、新地や銀座のキレイどころを伴って催しの「初日」とかに来ちゃってるんだろうな… やれやれ、これだから金持ちってやつは (;´Д`)

 

まだ間に合う!! 6月25日の午後5時まで(最終入場時刻は午後4時)

 そんなこんなですが、兎にも角にも、行ってください!! 交通費は掛かるかも知れませんが「入場料はタダ」です。こんな大盤振る舞い、ちょっと考えられませんから。

 この先、何年かかってもパテックなんて買えるはずのない私ですが、今回、長く豊潤な歴史を彩ってきた珠玉の時計たちを見ることが叶い、夢のような時間を過ごすことができて光栄でした。「パテック フィリップ」が何故「世界最高」と称されるかの答えも、このイベントにあったような気がします。まぁ同時に「そりゃあ手に入るわけないわ!!」と観念するきっかけにもなりそうですけど (;´Д`)

 最後のブースではとても感じの良い時計技師さんの「プロの技」も堪能させていただきました(ガンギ車とアンクルの動き、気持ちよかったです)マニアックな質問の数々を投げかけたせいか「時計関係のお仕事ですか??」と聞かれてしまいましたが、いえいえ、ただの時計好きのオッサンですよ??と訂正しておきました(笑)

 それにしても、こんなに若くて優秀な人材が育っているなら、機械式腕時計の未来はまんざら捨てたものではないのかもしれません。しかもパテックの技師さんなんだもんなぁー…尊敬しちゃいますね。

 ぶっちゃけ「パテックでお腹いっぱい」にしてもらえるなんて、正しく腕時計好きの本懐でございましょう。夢心地で展覧会場を後にした私でしたが、体内のニコチン残量にエンプティーを感じていたため、とりあえず行きつけの喫茶店を目指すことにしました (;´∀`)

 が!! 最後の最後で展覧会のグッズを販売しているスーベニアコーナーが目に留まり、吸い込まれるように入ってしまいました。入ったからには図録は数冊買わねばなりません。絶対に欲しがる時計好きの知り合いが数名いますからね!!

 縁起物(?)ですからねぇ…メモ帳も買っちゃいましょう。用途の解らないマスキングテープもこの際は。クリアファイルは何冊あっても困りませんよね?? 

ひと通りお裾分けした後(笑)

 結局、値段も見ずに目当ての商品を抱えてレジに並んだら、2万円も支払う羽目に(汗) さすがに買いすぎましたねぇ… 入場料はタダですが、こんな風にお金を使っちゃう人は多そうです (;´Д`)

 

「パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション」の公式WEBサイト

開催日時:2023年6月10日~6月25日 入場無料 予約不要 午前10時~午後8時(最終入場時刻は終了1時間前) ※25日(日)のみ午前10時~午後5時(最終入場時刻は午後4時)場所:東京新宿・三角広場

 

最後に…

 はぁ…全く、何て展覧会だろう。この世の贅沢の全てが西新宿の一角に集まったかのような空間でした。私が入場した時間帯は周りを見れば「ノーチラス」「アクアノート」が大勢を占めるリストで充ち満ちていましたので、確かに肩身の狭さを感じましたが…間違いなく、腕時計好きなら行くべきイベントでした。大袈裟でもなんでもなく、行かないと一生後悔することになるかもしれません。

 お土産を買って、これでパテックにお金を落としたことになるのか否かは解りませんが、何となくパテックとの「縁が結べた気」がしないでもありません。そんな風に考えてしまう自分の小者っぷりが情けない(笑) これだからオレってやつはダメなんだ (;´Д`)

 とりあえず図録は大阪の時計好きに送りつけました。クリアファイルは職場の「解る人」に配布。「パテックのお裾分け」で、みんな喜んでくれるといいなぁー。

 最後にお詫びをひとつ。今回は可能な限り素早くリリースしたかったので、写真の補正やトリミングは行ないませんでした。映り込んだみすぼらしいオッサン(私のこと)だけは消去しましたが… ピントの怪しい写真、暗くて良く解らない写真などによる低クオリティーをお詫びします。実物の「パテック フィリップ」はこれら写真の「兆倍」も素晴らしかったことを、ここに明記するものです。

 「パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション」で世界最高の時計を目の当たりにする機会を下さった関係者の皆さまに、厚く厚く御礼申し上げます ( ´∀`)