いつもよりは手短に書きたいと思います(;´∀`)
先日、某高級腕時計販売店に出向いて腕時計を一本購入しました。たまたまネットショップの方で見つけたのですが、どうせなら実店舗でスタッフさんの意見を聴きつつ、実物を手に取ってから買うべしと思い立ちました。ホント、こういう時の行動だけは素早い私です(;´Д`)
会社と家の往復以外には基本的に出かけなくなって久しいですが、月に一度くらいは何か特別な目的に突き動かされて、いそいそ出かけるようなこともあります。座敷牢も嫌いじゃない「根暗上等」な私ですが、それでもずっと部屋にいるとジワジワ落ち込んできちゃいますからね。まあ東京に来てからはずっとお一人様ですし(泣)…外でご飯を食べたりお酒を飲んだりも皆無なので、これ以上の安全もないのですが…
何かが増えてます(´・ω・`)
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さて目的地、人呼んで「腕時計のネバーランド」に到着。ここに来ると余りの楽しさに歳をとるのを忘れそう…という意味で私が勝手に命名しました(笑)。毎度思うのですが、腕時計販売店がひしめく「ここ」に来ると、独特の匂いがするんですよね。何かが焦げたような…僅かにツンとくる感じ。ステンレスのキッチンをマイクロファイバーの布巾で強く拭いたときに、一瞬感じるあの匂いです。
さて、目的の「ブツ」はハッキリしていましたから、何の迷いもなく目的のお店で目的の腕時計を発見できました。おぉ…ネットの写真で見るより立体感があってずっとイカしてる。色っぽいなぁ~お前さん(*´∀`*)
この日購入した時計は立派な(?)中古品でしたが、真剣にアラ探しをしても相当にコンディションの良い逸品でした。ブレスの長さにもたっぷり余裕があって、中古の場合、何気にそれもうれしい要素だったりします。そして、悩むまでもなくあっという間に購入。一目散に帰宅してブレスのコマ調整をしなければ!!
そんな浮き足立った私の心情を見透かすように、ショップのスタッフさんはクールに言うのでした。
「着けて帰られますか?」
帰られます!ってなもんで、ブレスの調整をお願いしました。えぇしました。確かにお願いしました。だって、折角の腕時計ですもん。帰りの道のりも余すところなく味わいたいじゃないですか…購入直後の余韻を。
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調整してもらった腕時計をごく普通に装着して、ごく普通に駅まで歩いて電車に乗りました。所要7分くらいでしょうか…心の中は「スキップランララン」なテンションでしたが、実際はスキップはおろか小走りもせず静かに歩いていたと思います。
少しだけ待たされた電車に乗ってドア際に立ち、買ったばかりの腕時計を色んな角度から凝視する私。自然と口角も上がるってもんです。例え若い奴らに「ニヤつきながら腕時計を舐めるように見つめるキモオヤジ!」とか思われたとしても、ワシは一向に構わんってな心境でした( ー`дー´)
ところが、そんな私にとっての至福の刹那、手首の皮膚に鋭い何かが引っかかったような感触がありました。確かに安い時計の安いSSブレスだと、加工精度の低さから「ちくっ!」とすることもありますが、その日購入した腕時計は断じてそんなことの起きるレベルのお品ではありません。
とはいえ「何かが起きてる」ことは明白でした。
移動中でJRの車内ではありましたが、即刻、腕時計を外して「違和感」の箇所を調べてみました。するとクラスプ(バックル)付近のコマから「ニョッキリ」出ている棒状の何かが。
それはコマを固定、接続するための「ピン」でした。指で摘まむと、それはいとも簡単に抜けてしまいそうなくらいグラグラと危うい状態。
「おいおいマジか!?」それが私の素直な気持ちでした。
まさか腕時計の専門店でコマ詰めをお願いして、あわやピンが抜ける事態に陥るなんて…そんなの予想できるワケもありません。ちなみにピンはねじ込み式。つまりきちんと最後までピンを回せば、そんな簡単に抜けるものではないのです。
ネジピンのねじ部分は先端のほんのちょっとだけに刻みのあるタイプで、端っこが受座になっているコマを固定する作り。半端なねじ込み具合だとドライバーからの感触も頼りないでしょうから、さすがに解ると思います。
これはもうショップスタッフの誰かさんが、極めて雑な仕事をしたとしか思えません(このタイプのピンをご存知なかった?まさか…)腕時計ファンの間ではよく知られた専門店で腕時計を購入したにも係わらず、これは余りにもお粗末な事態です。
大げさでも何でもなく、高級腕時計の販売店としてあれは重大なインシデントだったと思います。自分が客として大事にされていないと感じたこともショックでしたし「この店は腕時計を愛していないのか」という悲しい疑念も湧いてきたのです。
確かに腕時計専門店にとって腕時計は単なる商材かもしれません。しかし、真の商売人なら「次も私どものお店で!」と願うはずですよね?となると当然、売った商品でお客さんに満足してもらわないといけない。
腕時計のような「安くない買い物」は商品自体とは別に「上質な体験」あるいは「満足」を買うもの…私はそんな風に考えています。ですので残念ながら、今後このお店からは脚が遠のく可能性もあります。同じお金を払うなら、腕時計に愛のあるお店で買って「繋がり」を実感したいですしね。
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そういう私個人の気持ちは置いておくとしても、例えばあのままピンが抜け落ちて、ブレスが外れて時計が落下してたら…法的には一体誰の責任になるのでしょうか?
お店が責任を負うとしても…一点物の中古品の場合、同じものの提供は「原則不可能」なはずです。新品と異なり、中古には一点一点に「個性」があります。例え同じモデルの中古が在庫としてあって「代わりにどうぞ」と出されても、それは私が購入した腕時計とは別物です。
中古時計のマーケットは長い年月をかけて世界的に成熟してきました。そしてその価値観を支えているのは「年代」や「希少度」「使用歴・状態」といったものが複雑に絡み合い、絶妙なバランスで成り立つ「個性」に他ならないのです。
中古を扱うお店には、中古の腕時計に纏わるこの「原理原則」を大切にして欲しいですし、新品よりもデリケートな「一点物の商材」であることに最大限配慮して欲しいものです。
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何にせよ、私の「腕時計観察眼」がもたらした「気付き」によって「購入から10分余りでお釈迦」という世紀末的な悪夢は回避できました。だけど今後は、購入したショップでブレス調整を頼むという、謂わば「当たり前」のサービスも、よく考えて受けた方が良いかもしれません(;´Д`)