腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

これは上がる腕時計!タイメックスの「M79 オートマチック」を入手

 10月の転勤からコッチ、自慢のヤワなハート&ボディーがボロボロになってしまった私。自分の不甲斐なさに対するイライラもさることながら、同じ会社でありながら「東阪で何故にこれほどまでに仕事の流儀が違うのか?」について、考えても無駄な疑問とストレスを抱え込むに至っています。これまでの人生、終始一貫、スチャラカに生きてきた私にとっては、実に不似合いでシリアスな悩みなのです(;´∀`)

 

 12月に入った途端、案の定忙しさはさらに加速。疲労を蓄積し続ける部下の皆さんの悲鳴をBGMに、休日を潰しまくって働いた結果、何とかかんとかですが、山場を越えることができました。

 出来上がった仕事を落ち着いて見れば、それこそツッコミどころの穴だらけでしたが、まずは締切を遵守できたことに対して(頑張った)部下の皆さんに感謝したいと思います。こんな時勢でさえなければ、労いの宴でもひらいて美味い肉でも食いに行くのですが。ねぇ。

 自分自身もそれなりに頑張ったと思います。慣れない東京生活を送りながら、日々発生するハードヒットで無茶な要求をこなしてきました。家族も友達もいない東京でストレスを発散する機会もなく、孤独に耐えてよくやった…と思っています。現在のポジション的には「当たり前」といわれても仕方がないレベルの働きかもしれませんが、せめてせめて…自分で自分を労わないと、他に誰もヨシヨシしてくれないじゃないですか?(´;ω;`)

 

 という訳で、実に久しぶりの腕時計を買いました。

 

M79 オートマチック(TW2U29500)

 

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 恐らくは大学の頃に、原宿かシモキタの雑貨屋で入手して以来の「TIMEX」です。こみ上げるものがありますねぇ。

 

 昨年(2019年)春頃に火がついて大人気になった「Q TIMEX」の自動巻きバージョンという位置づけの時計です。私も「Q TIMEX」を見た際に、「これは!」と思い速攻で注文を試みましたが、どこもかしこもあっという間の品切れ状態でした。

 市場に漂う個体は過剰にプレミア価格を乗せた代物ばかり。そういう業者(個人)からは意地でも買いたくないじゃないですか?…ってなわけで、いずれ落ち着いて、中古でも出始めたら買おうかなぁ~ってな感じで、つい最近まで、そのことすら記憶の彼方に忘れていたのです。

 

 

 

 12月に入って、本格的な忙しさに削られまくっていたころ(…と過去形で話すにはまだ早い気もするのですが…)私のメンタルはかなりピーキーになってまして「何でもいいから腕時計が欲しい!」という精神状態にありました。通勤時間帯の丸ノ内線車内で、ひたすら腕時計ショップを閲覧するためにスマホを叩きまくっている男がいたら、間違いなくそれは私だったと思います(;´Д`)

 そんなある日、アマゾンでしたか…かつて入手困難だったQ TIMEXが選び放題な品揃えに戻っていることに気が付きました。そして「おっ!? Q TIMEXにバットマンあるやんけ!」

 よく見ると「AUTOMATIC」の文字が。「Q」じゃないQ TIMEXとな!?

 

 さらによく見ると、サイズのバランス感がクオーツの「Q」とは違っています。クオーツ版は「約38ミリ」、自動巻き版は「約40ミリ」幅です。自動巻きムーブメントの搭載で、大きくせざるを得なかったのでしょうか?

 写真で見る限り、ケースやブレスの質感に大きな差はないように思います。ただ、自動巻き版の「M79」は、インデックスとハンドが明らかにグレードアップしています。特にインデックスはアプライド(風?)で、ほのかな高級感がありますね(*´∀`*)

 

 バットマンカラーのベゼルといえば、本家「ロレックス GMTマスター」を思い浮かべずにはいられませんが、あちらのバットマンベゼルは「青いGMT針」が特徴ですから、「M79」「赤い秒針」はオリジナリティーといっても良いのかもしれません。まぁ、どこをどう比較しても、競合しない両者ですが。

 

 というわけで、ささやかな「自分甘やかし」として、久しぶりの…本当に久しぶりの腕時計を買ったわけです(;´∀`)

 

 

 

 それは思いのほか、デカい箱でやってきた

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 業者の箱がやたらと大きかったので「何買ったんだっけ?」みたいに考え込んでしまったくらいでしたが、中身の「TIMEX」の箱も相当に大きく、迫力がありました。

 個人的見解としましては、腕時計の化粧箱なんてものは、小さくてもよいのです。大きいと私のように「アホみたいに数だけ持ってるコレクター」は、箱の隙間で寝起きする羽目になります。

 

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 蓋を開けると…「ザ・アメリカン」な雑な設え(笑)

 いや、むしろ「アメ物買っちゃったぜぇ~」みたいな高揚感がたまりません。

 

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 こんな感じで、雑な養生にくるまれて…いないところのほうが多いです。

 いやいや!これも「アメリカ!」(っていうか中国?)

 

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 出してみました。この時点で私はこの時計にベタ惚れ。デザイナーの意図がはっきりと見て取れると思ったからです。作りのクオリティーは価格なりでしょうが、モノとしての完成度は異様に高いと感じます。

 

 

 

 古くて可愛いデザイン

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 養生を剥いて。

 なるほど…無機質で直線的なケースと7連の細かすぎるブレス。ダイアルの凝縮感からくる緊張をケースの空間で受け止めてから、さらに緊張感のあるブレスにつながる計算された装飾は、間違いなく「ミッドセンチュリーモダン」に属するものです。

 20世紀中盤、アメリカンミッドセンチュリーの建築、家具、自動車、家電などに共通する雰囲気があります。可愛いなぁ(*´∀`*)

 

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 日本円で33,000円の時計ですが、ダイアル周辺はよく頑張っていると思います。アプライド化されたインデックスの視覚的な「高見え効果」はかなりのもの。ハンドの質感も上がっていると思います。ベンツかと思ったら、これはTIMEXの「T」ですかね?

 

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 美しいサイドビューです。リューズも安っぽくはないですね。但し、かなり小ぶりなので巻きやすいかというと…(汗)

 

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 反対側から。謎の円盤風ですね(笑)

 私としては、意外にも厚みを感じませんでした。正面からの印象はゴツいのですが、サイドに回ると繊細さえ感じるデザインです。

 

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 青黒のベゼルが渋くていい感じです。セラミックにエッチングした物には比べるべくもない質感ですが、オリジナルの「Q」が作られた1979年を思えば、これはこれでよいのだと思います。

 そうだ!一部の販売サイトでは「両回転ベゼル」と説明がありましたが、一方向にしか回りません。逆回転防止ベゼルでした。

 

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 ラグ部分。

 面取りや仕上げ具合は、まぁ…推して知るべしなTIMEXですが、そういう雑さもブランドの一部だと思えばよいだけです。デザイン的には妥協なく当時物の雰囲気を追求できているのではないでしょうか?

 

 プラだね、やっぱり!

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 プラ(アクリル)風防が実にいい感じです。

 この時計の雰囲気の45%はこのプラ風防の「味」が握っているのではないでしょうか?ダイアル要素の見え加減にかなりの下駄を履かせて底上げしてくれているのが、この風防の歪み具合だと思います。

 ミステリアスな雰囲気がたまりません。それにプラ風防は傷がついても磨けば元に戻りますからね(*´ω`*)

 

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 コマの細かい7連ブレスです。内側のコマはポリッシュされています。

 バックルはミラネーゼなどの固定でよく見かけるタイプで、受座のロック位置を動かすことで手首径に対してアジャストできます。慣れないとコツが要りますので、最初のうちは落下させないように気をつけて下さい。

 

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 あっさりしたバックルですが、まぁこれはこんな感じでしょう。

 

 「腕毛問題」は起きるのか?

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 裏側から。

 巷のレビューなどで見かける例の問題…「腕毛むしられ問題」ですが、確かに私もむしられました(汗)

 ただ、完全にむしられるわけではなく、引っ張られる感じで、その際、多少「チクッ」とするのです。もしかすると腕毛の長い人のほうがむしられずに済むかもしれません。それにこの「M79」「Q」は、海外のレビューフォトを見る限り、「腕毛モサモサ」の人のほうが似合っていると思いました。腕毛問題で躊躇している人がいたら私は言いたい。むしろ「腕毛に埋没させるべき時計」であると。

 

 

 

 自動巻きか、クオーツか

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 ムーブメントです。

 自動巻きが載ったということで、トランスペアレントな裏蓋になりました。といっても、ペルラージュも一切見当たらない簡素な作りです。見せて楽しいものではありません。

 しかし、もしこの「バットマンM79」が自動巻きじゃなかったら…今回も私は購入を見送っていたかもしれません。3針時計の運針の美しさからいっても、自動巻き搭載は魅力に写ったのです。

 確かに所詮は「Miyota 8205」ですし、「Q」に比べて価格もきっちり1万円上がったわけで、あえてクオーツの「Q」という選択もあったと思います。カラバリだって「Q」の方が多いですしね。特に白ダイアルモデルは悩みましたねぇ(;´∀`)

 

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 いやぁ~楚々としてますね(笑)

 とはいえ、Miyotaが載っているというだけで、かなりの安心感はありますね。最低限の仕事はしてくれるはずなので。

 

 総評

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 一言で「M79」を評するなら、価格を度外視した「気分の上がる腕時計」と言えるかもしれません。安価な価格の時計であり、それなりの性能とそれなりの見た目しか持ち合わせていないのは確かです。高品質を期待すれば、間違いなくガッカリさせられるでしょう。

 しかし、そういう人はそもそも、総じてテキトー感漂う「TIMEX」には手を出さないのではないでしょうか?

 この時計はぱっと見で「カッケー!」あるいは「イカス!」と感じて、ある種の反射でポチる時計だと思います。深く考えるべきではない。そういうカテゴリーなのです。

 そうして手元に届いた際に思うはずです。「コイツ…意外と使えるぞ!」と。

 

 私は身につけた瞬間に「ふふっ」と怪しげな声を漏らしてしまいました。きっと、腕時計馬鹿の深い部分のなにかがくすぐられて、こみ上げてきたのだと思います。

 ちなみにこの文章を書いてる間も、ずっと左腕には「M79」が巻かれています。部屋にいるときは腕時計を外すことの多い私ですが、「M79」はなぜかずっと着けたままでした(さっき気が付きました)軽くて邪魔にならず、何より「着けていたい」と思わせる何かがあるのでしょう。

 

 凡百のダイバーズスタイルの腕時計では味わえない種類の所有欲を、ほのかに満たしてくれる貴重な一本であることは間違いない「M79」という腕時計。ミッドセンチュリー的なテイストがお好きで、イームズの家具が好きだったりする方ならば、この「味」を解っていただけるのではないかと思います。

 「Q」は気になってたけど、クオーツがなぁ…と躊躇していた方にとっては、この「M79」は福音に違いありません。今後の展開では赤黒ベゼル登場にも…期待しています!(*´∀`*)

 


M79の仕様データ:

ブランド:Timex(タイメックス)

モデル名:M79

ケース径:40mm

ケース厚:14.5mm

ケース素材:ステンレススティール

文字盤色:ブラック

防水性能:50m

キャリバー:Miyota 8205(2万1600振動、21石)

パワーリザーブ:40時間

 

余談です:

 グーグルフォトとインスタから貼った写真の表示が怪しくなって久しいですが、どうやら仕様変更にはてな側がついていけていない…みたいです。グーグルフォトから貼った過去の写真については、はてなさんがいずれ移行処理してくれるらしいので待ってみるつもりですが、インスタは望み薄。

 読者の皆さまには虫食い状態で見苦しい記事をお見せして申し訳ありませんが、時間がなさすぎて私個人の対応は難しい状況です。

 そのうち…そのうち何とかします。お待ち下さい(´;ω;`)