腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

ヨットマスターII(Ref.116680)の怪

 高価で到底買えそうにないものの、私は常々「ロレックスのヨットマスターIIって、何か良いよなぁ~」と意識してきました。一種の憧れです。それは間違いなく高級感のカタマリ。ちょっとダサめで品のないベゼルや無駄に凝ったダイアルも「ヘンコな私」からすれば大好物なのです。一見すると否定要素の多い時計なのに、全体としては間違いなくロレックスの空気と完成度を纏っているという、マニアックでキワキワでイカした時計だと考えています。

 

https://content.rolex.com/dam/model-page/gallery/m116680-0002/model-page-yacht-master_yacht_master_ii_m116680_0002_flagship_ambiance_iso_02_large_1.jpg?imwidth=620

 

 ロレックスの中でも珍品の一つで、身に付ければ絶対に注目を浴びる一本でしょうから、さぞや人気…つまり高値で取引されているだろうと思いきや、調べるとどういう訳だか、ロレックスのスポーツモデルとしては非常に珍しい状態「並行のほうが正規より安い」つまりプレミアが付いていない時がある時計なのです。摩訶不思議ですね。

 

 

 やっぱり僅かに安いですね(;´∀`)

 

 欲しい人にとってはとてもありがたい状況だと思うのですが、昨今のロレックスは「より高値の上乗せ価格で取引されていること」に価値の重点が置かれているような有り様です。イコール人気の度合いと言って良いのかどうかは正直定かではありませんし、個人的には余り納得もできませんが、その辺りの風潮もあってか「ヨットマスターII」に対する巷の評価は「スポーツモデル随一の不人気」という感じで落ち着いちゃってます。う~ん…

 

 実際に人気が無いのだとしたら、その理由はどの辺にあるのでしょう?ロレックスには余り縁のない私ですが、色々と考えを巡らせてみました。

 

 

 

 

 

 少し高めの価格設定に感じる

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 専用に開発されたムーブメント「Cal.4161」を搭載するなど、十分過ぎる贅沢感はあるものの、それらの高機能が表面に見えづらい(或いは消費者に届いていない)。そのために「このくらい出すならもうちょい頑張ってデイトナに行くわ!」と思われてしまうかもしれません(;´Д`)

 例えば定価で130万円くらいの設定だったら…より広い購入層から、全く別の評価を得ていたかも知れません。

 

微妙にシーンを選ぶデザイン

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 高級な素材で精緻な加工を施された逸品ながら、どこか玩具っぽいそのデザイン。個人的には「伝統的なベンツ針である必要性を感じない代表格」に見えます。ここまで変わり種のトータルデザインを目指したのなら、このモデルにしか付けないハンドをデザインしても良かったのではないでしょうか?

 そのギクシャクした感じがシティーユースにおける「ピタッ」っとハマるシーンのイメージを妨げているような気がします。確かにどんな服に合わせたらいいのか…そういう「日常」をイメージしづらい難しい時計は、購入時の躊躇を引き起こす可能性があります。

 

 

 

最初に購入するロレックスではない

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 腕時計を買う際の「最初の1本」は非常に重要です。それこそがその後の「腕時計人生」を決めると言っても良いでしょう。恐らくは一番外さないお薦めモデルに始まり、十分な満足を得た上で次の異なるタイプのモデル、そして冠婚葬祭に使えるシブいヤツ…ってな順番になるでしょうか?

 「ヨットマスターII」の場合、まず最初の1本として入手する人は余りいないのではないでしょうか?2本目、3本目でも難しい(´;ω;`)

 とにかく高価な上に「ヨットマスターII」のような限定的な使い方を求められるモデルの場合、かなりの勇気を必要とします。いつ買って、どこに組み込むのか…という難問を抱えたまま、欲しいけど見送り続けているロレックスファンも多いと思います。うちのミルガウスですら、似たような問題を抱えていますからね。

 

そもそも「ヨット」が縁のない世界

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 皆さまは「自分の船」をお持ちですか?私はもちろん持っていません。

 前にうちの釣り好きの弟が小さなボートを買おうとした際、私は大反対しました。維持費もかかるでしょうし、自動車のように度々出番のある代物でもない。それに小市民としてはボートなんて「超贅沢品」に思えたのです(´・ω・`)

 私もちょこっとダイビングをやってた頃は、ボートがあれば楽しいだろうなぁ~とは思いましたが、やっぱり贅沢に思えて留まったことがあります。

 ヨットなんて尚更です。大金持ちの子息の趣味としてはアリでしょうが、そもそもどこから入っていけば良いのかすら分からない世界です。

 「アメリカズ・カップ」は何度かテレビ観戦しましたが、凄い凄い!と思いつつも自分がやれるとは思ったこともありません。高級腕時計なんかとは比べ物にならない、踏み込むことを許されない世界なのです。

 

 ですので「ヨットマスターII」がヨットマンに必須の機能を備えた高性能ヨットウォッチだと言われても、まぁピンとこない。ダイバーズやレーシングウォッチならまだしも「絶対に必要な瞬間が来ない」ヨットのための機能を持った時計の有り難みが、イマイチ理解できないのです。レガッタクロノグラフって言われてもねぇ~って感じです(;´∀`)

 となると「ヨットマスターII」が本来持っている「機能美」が正しく理解できないということになります。機能を理解することは、スポーツモデルを愛する前提の一つです。ダイバーズがお好きな方の中には、いわゆる「なんちゃって」を許せない方もいるくらいです。例えダイビングをしなくったって、ダイビングできるだけの機能と性能を重要視してのことだと思います。

 「ヨットマスターII」の真価が解る方は、やはりヨットを趣味にするような方々でしょう。イメージ的には加山雄三さんのような方です。あるいは、ヨットマンでなくとも「若大将」な魂を持った方でしょうか?

 

 

 

 ヨットにはそれだけ縁遠いイメージがあります。限定的なイメージを持つちょっととっつきにくい外観と合わせて、一般の腕時計好きが「ポンッ!」と買う時計ではないのでしょう。

 これが私の考える「ヨットマスターII」がイマイチ市場の評価を得ていない理由です。ただ、市場価値と言ったところで、それが腕時計の本質を現しているとは限りません。私が今回、縁もゆかりもない「ヨットマスターII」に対しての意見を書こうと思ったのも、言ってみれば「現在の市場価値に納得できない」でいるからなのです(~_~)

 ミルガウス持ちの「ヘンコな私」ですから、お金さえあれば「ヨットマスターII」だって手に入れたい「由緒正しい変わり種」なのです。人気が出て妙に高くなったりすると困りますが、もっと正しく評価してやってくれ!とも思います。

 

※そういえば、画像はちゃんと存在するのに、アイキャッチ画像が出てこないページが発生して困っています。この不具合は早く直してほしいなぁ…はてな様お願い!