腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

「ザ・シチズン」と「人助け」

 2022年8月に発売された「ザ・シチズン」のIconic Nature Collection「静寂(AQ4100-22E)」を買うべく、資金枠を設定してチマチマと貯金してきました。途中、ティソの「シースター1000 36MM」を買っちゃったり、シチズンの「クロスシー」限定レディスモデルを買っちゃったり、「ムーンスウォッチ(オメガスウォッチ)」を買っちゃたりの「寄り道」はありましたが…それでも!!ようやく購入の目処が立ちました。

 以前にも「ザ・シチズン」のモデルが目に焼き付いて「欲しい欲しい病」を発症したことがありました。これといった理由も根拠もない話ですが、手堅く地味な印象の「ザ・シチズン」に大枚を叩ける人こそが、最高に思慮深い腕時計好きなのではないか…そんな憧れがあったのだと思います。

 

ザ・シチズン「静寂(AQ4100-22E)」エコ・ドライブ

出典:https://citizen.jp/

 ですが「静寂(AQ4100-22E)」の場合は違いました。思慮深さ云々も無関係に、それこそ「一目惚れ」ってヤツでした。機械式かどうかなんて知ったことじゃない、その美麗な見た目に只々惚れたのです。

出典:https://citizen.jp/

 シチズンさんらしさが際立つケースデザインはどの角度からでも美しく見え、インデックス、ハンド、デイトの額縁、エンブレムなども素晴らしい仕上がりです。それらの存在が「土佐和紙」を用いたダイヤルの中で破綻なく共存する完成度の高さ。機械式ではないとはいえ、この素晴らしいタイムピースが「38万5000円」で手に入る幸運に、私の腕時計魂は震えたのです。大袈裟でもなんでもなく、この時計に関して言えば本当に「ズキューン!!」(笑)

 

世界限定250本!!

 「世界限定250本」ということで、資金繰りに手間取れば買いそびれる可能性もあるワケで焦りもしましたが、有難いことにまだまだ普通に買えちゃうみたいでした。

 他にも「紺碧(KOMPEKI)」「息吹(IBUKI)」「綾錦(AYANISHIKI)」といったオツな名前の付いたモデルのバリエーションがありまして、これまた所有欲をくすぐる逸品ばかりです。一見、他のモデルより割高に設定されていても良さそうなイエローゴールド色の「綾錦」が同じ価格だったりするのも、シチズンさんの真っ当な姿勢が伺えて何となく嬉しかったりします(*´∀`)

「静寂、紺碧、息吹、綾錦」の諸元

 キャリバーは「A060(光発電エコ・ドライブ)」。精度が年差で±5秒という超絶性能ですが、すでに「シチズンなら当たり前!!」みたいなところもありますね(笑)

 ケース素材は「スーパーチタニウム」で、シチズン自慢の「デュラテクト処理」が成されています。こちらはストラップモデルですが、贅沢に「ワニ革」です。

 重量はたったの「54グラム」。ケースサイズは横幅「38.3ミリ」ですから、今最も使いやすいサイズだと思います。風防はデュアル球面サファイアガラス(クラリティ・コーティング)が使われています。

 防水は「10気圧」ですので雨の日も安心して使えるでしょう。さらに「耐磁1種」まで。ちなみに日常生活で磁界を発生する機器に「5センチまで」近づけても性能を維持できる水準(直流磁界4800 A/mに耐えられる)を満たしているのが「1種耐磁時計」だそうです。OA機器に囲まれて仕事を続けても安心ですね(*´∀`)

 フル充電時には約1年半も動き続けます。そしてコレも「シチズンなら当たり前」なパーペチュアルカレンダーを搭載。「0時ジャストカレンダー更新機能」ってのがあるのですが、どの程度ジャストなのか…実物見たいわぁ~(*´∇`*)

 

 

 

ザ・シチズン「紺碧(AQ4100-14L)」エコ・ドライブ

出典:https://citizen.jp/

 「和紙」の醸し出す落ち着きが華美とは真逆の美意識を感じさせます。それにしてもこの「青」…なんて美しさなのでしょう。そもそも光の透過性能がエコ・ドライブと抜群の相性ですから、ソーラーにありがちな光透過のための犠牲を払う必要のない、考えられたダイヤル装飾だと言えます。繊細で複雑な繊維の織りなすダイヤルに、美しく仕上げられた針やインデックスが配置された様は、まるで完成された「石庭」のようです。

 

 

 

ザ・シチズン「息吹(AQ4100-06W)」エコ・ドライブ

出典:https://citizen.jp/

 この「緑」もホント味わい深いですよねぇ。ケースのキリッと締まったラインも絶妙な幅のベゼルも、美しいダイヤルを閉じ込めるに相応しいデザインだと思います。グレーのシックなスーツに合わせたら、めっちゃ「デキる男」感が出そう(*´∇`*)

 「静寂一択」かと思ってきましたが「息吹」の佇まいも捨てがたいところです。

ザ・シチズン「綾錦(AQ4102-01X)」エコ・ドライブ

出典:https://citizen.jp/

 イエローゴールドのデュラテクト処理を施された華やかな一本です。う~ん…こんなの着けてたら偉い人に睨まれちゃうかなぁ(;´∀`)でもコレ、惚れ惚れするほどキレイですよねぇ~(*´∀`)

 そうなんですよ、この「静寂、紺碧、息吹、綾錦」に共通するのは、間違いなく「価格を超えた美」そのものなんです。針が落とす影すらも美しく、オーナーさんは時間を確認する都度、我が身に着ける「眼福」にザ・シチズンの芳醇な美の世界観を味わうことになるでしょう。

 でもやっぱり謎。だって「AQ4102-01X」に施された「デュラテクトゴールド」は本物のゴールドを使用しつつ、本来軟らかい貴金属であるゴールドの硬度を大幅に高める技術なのですから。ぶっちゃけどう考えても、割高になりそうなんですけどねぇ(*´∀`)

 

どうせ買うなら「オマケで選べ!!」

 初見で「オレなら静寂だな!!」と心に決めてしまった私ですが、じっくり他のモデルを見ると、いやはやとんでもない!!どれを選んでも後悔なんてしようのない価値あるモデルばかりでした。あぁ…全部は買えんのよ…あぁ(;´Д`)

 で、これらは限定モデルですので、どこで買っても大抵は「希望小売価格」のままなワケです。それなら何かしら「オマケをくれる」お店はないものかと探しまして…すみません。小市民的で(;´Д`)

 すると徳島県の正規品販売店「ハラダ」さんを発見。ザ・シチズンを買うと「パーカー」のボールペンが貰える太っ腹なキャンペーンに「敢えて徳島で買うのも一興!!」という気分になった私。物にもよりますが「パーカー」と言えば、結構お高いペンですからねぇ。

 で、思いっきり指先に力を込めて「AQ4100-22E」カートに入れようとした刹那、キャンペーンの期日がすでに過ぎていたことを知りました(汗)ワシってこんなんばっかしやなぁ…(´;ω;`)

 

東京都下でお店探し

 「購入!!」の意志自体は変わりませんでしたから、気持ちを切り替えて東京都下のお店を探すことに。折角ですし行ったことのないお店の中で、今後のお付き合いが楽しめそうな場所を探しました。

 東京都下なら現物に触れてから購入できますしね。週末に訪れるべくお店の場所をスマホにブックマークしたあと、公式やメディアのレビュー記事で高ぶる気持ちを鎮めるべく、ベッドに寝っ転がった状態でiPadを叩いておりました。週末はまだまだ先。折角なのでこの最高に幸せな時間を楽しまねば(*´∀`)

 

 

 

そこに一本の電話が…

 すると、小一時間ほどして知り合いから電話がありました。随分と久しぶりで驚きましたが珍しくも何やら神妙な様子に、私の姿勢もいつのまにか正座に変わっていました。何々??どうしたんよ??

 中々深刻なお話でしたので詳細は書けませんが…共通の知り合いである「若いヤツ」が苦境に立たされていて、今すぐに何らかの助けが必要である。ってなワケで「どんぶり募金」お願いします…そんな内容の話でした。もしも同じような話をよく知らない人から聴かされたなら、そのあまりに現実離れした内容に「こりゃあ○○詐欺だな」と思うことでしょう(;´∀`)

 

 

 

お金を出して終わりじゃないのだ

 ですが、以前から薄々聴いていた事情と合致したため、とりあえずは信用できる話だと判断。その場で対策を話し合いました。それによると、無茶苦茶大金というワケではないけど、今すぐにでもお金が必要とのことでした。

 正直「参ったなぁ…」と思いましたねぇ。間違っても私はお金持ちではないですし、先月のお給料からは今住んでいる賃貸マンションの更新料が引かれている(これが痛い!!)それにこの先は、年末に向けて地味にお金が必要な時期でもあります。タイミングが悪いぜぇ(汗)

 そもそも、こういう場合のお金の出し方って難しいんですよ。出したら終わりってワケじゃないですし、今後の経過やら何やらで相応の責任も生じるのです。

 「う~ん…」と唸りつつ、それでも「一体幾ら必要なん??」と聴いてみたところ、それこそ即金で支払うのが難しい金額を告げられました。「どんぶり募金」のレベル超えとるよ(;´Д`)

 う~ん…もうちょいお金持ちやったら、役にも立てるんやろうけどなぁ(;´Д`)

 

「ザ・シチズン」か??、はたまた「人助け」か??

 「いや??待てよ??」…そう、私はこの電話の直前まで何をしていたのでしょう。確か「腕時計を買おうとしていた」のではなかったか。それも決してお安くはないザ・シチズンの「静寂(AQ4100-22E)」を買おうとしていたのではなかったか…

 御存知の通り私は腕時計が大好きな(だけの)オッサンです。腕時計を作る人もそれを正しく発信する人も、もちろん適正な価格で購入の機会を与えてくれるお店も大好き。正直な話、腕時計自体を含めその世界観を「熱烈にリスペクト」しているのです。

 だからこそ、私の中には腕時計という「モノ」「確固たるポジション」が決まっています。腕時計購入以上に「お金を使っても惜しくない」と思える行為はそれほど多くない私ですが、だからこそ「腕時計を買ってる場合じゃない」と判断できれば、どれだけ愛する腕時計であっても「所詮は趣味」と言えてしまえるのです。「人間、趣味のみに生きるにあらず」ですからね(;´∀`)

 

義理と人情と「ザシチ」

 確かに…数分間は逡巡しました。「ザ・シチズンが遠のく~(泣)」と一瞬でも思わなかったと言えば嘘になります。ですが今回の「救援要請」は間違いなく「腕時計を買ってる場合じゃない」に該当するのではないか。そして何より、その金額はまさに「静寂」のそれと等しいではないか…

 とその瞬間「ザ・シチズンを買うからお金無いねん!!」と告げて無碍に電話を切れるのか…という問いが自分の中に生まれました。うむむ…義理と人情を秤にかけるまでもなく、そんなの是非もない話です。

 そうして電話を切った私は、次の日に出せる範囲のお金を振り込みました。後日、他の知り合いも支援金を出すらしいと聞いたワケですが…全く!!世の中お人好しが多いなぁ。でも、そういう仲間がいること自体は誇らしく思います(*´∀`)

 

 

 

最後に

 限定販売のお品を諦めたワケですから、次に出会う機会が何時になるのかも定かではありません。このまま出会えなくなる可能性だってあります。

 ですが「鬼」でも無い限り、今回の私と同様の判断を下す人は少なくなかったと思いたい。あのまま「静寂」を買ったところで寝覚めが悪いですし、折角の「静寂」…私にとって記念すべき「初ザシチ」が、自分自身の「不人情」なイメージで汚れるなんて…やっぱり看過できませんからねぇ(;´∀`)

 ってなワケで、間に合うか解りませんがまた貯金を始めます。来年の1月くらいまで、在庫が余ってるといいなぁ~(*´∀`)