腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

生まれて初めてこだわって買った腕時計の思い出

私が子供の頃に「将来なりたいもの」1位は「改造人間」仮面ライダーの陰のある格好良さにシビレて、教室の隅っこでひとり、窓の外を見ながら口笛吹いていた変わり者の小学生でした。2位は「絵描きさん」。そのうちに「自分は一生改造してもらえないんじゃないか?」と感じて改造人間の夢は断念。しかし「絵描きになりたい」という2番めの夢は消えること無く持ち続け、執念でしょうか…なにかそれっぽい仕事に就くことができました。

 

しかし中学を卒業する頃までは、何をどうすれば「絵描きとして食べていけるのか」が解りませんでした。今のようにスマホを叩けば何やら答えめいたものが出てくるわけでもなく、美術雑誌の後ろの方にある美術学校の広告を見ながら、「こういう学校で勉強すれば、きっと絵かきになれるんだ!」という漠然とした想像を巡らすのが精一杯でした。いやほんと、情報が少なくて苦労したなぁ…(;´Д`)

高校の2年から夏期、冬期と休みの間に通った美術予備校で生まれて初めて、美大志望で将来はプロの絵描きを目指す」仲間と出会いました。同時に様々な情報が洪水のように頭に流れ込んできました。自分自身の情報収集能力の低さに唖然とした瞬間でもあります。それくらい同期の集めた「最新情報」が凄かった。

その頃、関西の美術系大学はとにかくその…ダメダメでして。4年通ったとしても業界とのツテが生まれそうもない。やっぱり東京だろう!東京六美大だろう!美術予備校の仲間たちにモロに感化されて、私もさしたる根拠のないままに東京の美大を目指すことにしました。

余談ですが、東京の美大と関西の美大では求められる「美術的なスキル」が全然違います。鉛筆デッサンと色彩構成という「基礎の基礎」でさえ全く別物を求められます。関西風(というとうどんのダシみたいですが)のメソッドで出来上がった画風を東京用にモデルチェンジするのに半年もかかりましたっけ。

そんな苦労のおかげで、どうにかこうにか東京の某美大に引っかかりました。はじめての一人暮らしでもあり、もう…楽しくて楽しくて楽しくて!

 

その頃、様々なアルバイトを経験しながら(といってもほとんどが「アート」に関係ある仕事でしたが)東京生活で散財することを覚えてしまいました。とにかくお洒落がしたかったので、DCブランド(懐しい!)の服を買いまくってました。ニコルとかビギとか(懐しい!)ですね。似合いもしないのに!全く!バカチンが!

 

私が大学生活を送っていた頃はメチャクチャ景気の良い時代だったので、学生をしながらでも月に数十万円を稼ぐことが可能でした。私の場合は特技を生かし「カンプ絵」や「建築パース」を描いて小遣い稼ぎ。今はどちらもCGであっという間に作れてしまいますが、昔は全部手描きだったので単価も高かったのです。アナログスキルでナンボでも稼げた時代。いい時代だったなぁ…(´;ω;`)あの頃に戻りたいです。

 

毎月毎月、服と輸入盤レコードばかりに散財していた頃、男性ファッション雑誌で取り上げられていたシチズン縦目2カウンターのムーンフェーズに目を奪われました。新宿のマルイか伊勢丹だったかに即座に出かけて入手。世の中に「ムーンフェーズ」という時計があるのを知ったのはこの時が初めてです。それまで安いカシオくらいしか持っていなかった私が、自分の意思で「はじめてこだわって買った時計」でした。とっくの昔にそのものは処分してしまいましたが、記憶としてはかなり鮮明に覚えてきます。写真を残しておくということが今よりはるかに手間だった時代のことです。何となくのイメージですが…シチズンの現行品だとカンパノラのムーンフェーズに似てるような気がします。記憶の美化というやつかもしれませんが。

 

それにしても初めて自分の意志で稼ぎで買った時計が、「初級編」とはいえ複雑系の時計とは…若い頃から変わり者だったようです。私は。

この時買ったシチズンのムーンフェーズ、長く愛用する中で元のレザーストラップを、伸縮する蛇腹のようなブレスに交換しています。何だろう…流行っていたんですよ、蛇腹ブレスが。確かに着け外しがあっという間にできるので便利なアイテムでしたが、今考えるとあまり格好のいいものじゃなかったような気がします。まだ売ってたりするかなぁ?

 

ありました( ´∀`)b そうそう、こんなのでした。安い時計の改造には、意外と悪くないかもしれません。

 

そういえば現在、シチズン腕時計を一本も持っていません」。今気付いてびっくりしました。これだけ数を持ってるのにシチズンが一本もないとか…なんでだろう?